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文武両道の國學院久我山、31歳監督が選手に伝える「気づいたらやりなさい」イチローさんもセンバツも引き寄せた“自主性”とは?

posted2022/02/04 17:03

 
文武両道の國學院久我山、31歳監督が選手に伝える「気づいたらやりなさい」イチローさんもセンバツも引き寄せた“自主性”とは?<Number Web> photograph by Yu Takagi

イチローさんからもらったバットを手にセンバツ出場を報告する國學院久我山の選手たち

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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 國學院久我山高校は、高い大学進学実績も誇る一方で、陸上部やバスケットボール部、ラグビー部が2021年度の全国大会に出場したほど部活動が盛んだ。サッカー部も2015年度の全国高校サッカー選手権で準優勝を果たすなど、まさに文武両道を実現している。

 その中でも、近年の野球部の躍進は目覚ましい。

 19年には夏の甲子園に28年ぶり3回目の出場を果たし、昨夏は西東京大会準優勝。秋季東京大会では37年ぶり3回目の優勝を果たし、11年ぶり4回目となるセンバツ甲子園出場を決めている。さらに昨年11月下旬にはイチローさんから臨時指導を受けたことでも話題を集めた。

 そんな上り調子が続く要因を31歳の若き指揮官・尾崎直輝監督に聞いてみた。

31歳尾崎監督が選手に伝えること

「思ったら言いなさい」
「気づいたらやりなさい」

 これは尾崎監督が常日頃から選手たちに言い聞かせていることだ。加えて「“気づかなかった”も悪だけど、“気づいたのにやらなかった”が一番の悪だよ」とも選手に伝えているという。

 そんな日頃の指導が生きている瞬間をたくさん目の当たりにしてきた。

 イチローさんを招聘できたこともそうだ。現在3年生(当時2年生)の田村優樹が知人を介してイチローさんと知り合ったことで、学年全員で手紙を書くことを閃いた。提案を受けた尾崎監督も快く承諾し、選手各々が熱いラブコールをしたためた。書かされたわけではなく、彼らが自発的に書いた文章だったからこそイチローさんに思いが届いたのだ。

 國學院久我山では野球日誌を指導者に提出する文化もない。見つかった課題や反省を可視化することで日々の意識づけできるため多くの野球部が取り入れていることだが、尾崎監督は「書かせるのではなく、書きたくなるような日々を過ごせばいいだけです」ときっぱり話す。

 その自主性を促す指導は練習でも同じ。学校の決まりで練習は平日・土日ともに3時間程度と決められており、その時間で足りないと思えば、各々が自宅で工夫しながら練習をする。進学校ゆえに、勉強が足りていないと思えば勉強に時間を割く。

 OBでもある尾崎監督は母校を「野球にも勉強にも真剣に打ち込める学校」だと自負している。

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