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《センバツ》 聖隷クリストファー落選は「もしかしたら…と」 東海地区の甲子園出場経験監督が一刀両断した“2つの疑問”とは

posted2022/02/02 17:10

 
《センバツ》 聖隷クリストファー落選は「もしかしたら…と」 東海地区の甲子園出場経験監督が一刀両断した“2つの疑問”とは<Number Web> photograph by Kyodo News

取材に対応した聖隷クリストファーの上村監督。球児たちの気持ちを思うと……。

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間淳

間淳Jun Aida

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 全く予想していない形で校名が全国へ知れ渡った。静岡県浜松市にある「聖隷クリストファー高校」。センバツのニュースを文字で知った静岡県外の人は、「聖隷」の読み方をインターネットで検索したかもしれない。全国的には無名のチームは、春夏通じて初の甲子園出場で注目されると想像していたはずだ。ところが、落選によって校名が知られる結果となった。

 1月28日に決定した第94回選抜高校野球の出場校の中に、聖隷クリストファーの名前はなかった。センバツ切符をかけた東海大会で準優勝。静岡県勢同士の対戦となった決勝の日大三島戦も2点をリードした展開から3-6の逆転負けと、決して悪い内容ではなかった。

 東海地区の2枠目でセンバツ出場は確実とみられていた。だが、まさかの落選。代わりに選ばれたのは、東海大会の準決勝で日大三島に5-10で敗れた岐阜県の大垣日大だった。5点差での敗戦に加えて、試合内容も終盤に得点してコールド負けを免れるのがやっとだった。

落選を「もしかしたら」と予感していた人が

 東海地区2校が発表された直後から、野球ファンや関係者から選考への怒りや疑問が噴出した。波紋は海の向こうまで広がり、パドレスのダルビッシュ有投手は自身のツイッターで「『個人の力量に勝る大垣日大』って。それをするなら、せめて聖隷クリストファー高を選考した上で、特別枠で大垣日大高を選考するべきではないんですかね?」と疑問を投げかけた。高野連は選考理由について、こう説明している。

「聖隷クリストファーは頭とハートを使う高校生らしい野球で、東海大会の2回戦、準決勝は見事な逆転劇だった。個人の力量に勝る大垣日大か、粘り強さの聖隷クリストファーかで賛否が分かれたが、投打に勝る大垣日大を推薦校とした。大垣日大は前評判の高かった静岡高校の吉田投手を打ち崩した連打は見事だった。2回戦では、優勝候補の一角だった愛知1位の享栄高校とレベルの高い見ごたえのある戦いを見せた」

 選考委員の説明を聞いても納得する人は少ない。聖隷クリストファーの落選を予想していた人は皆無に等しいと思われる中、「もしかしたら」と予感していた人がいた。

「発表前に、まさか落選しないだろうとは思いながらも、もしかしたらという気持ちがありました」

 こう話すのは、監督として東海地区でセンバツ出場経験がある指導者だ。「もしかしたら」と口にする根拠は、自身の経験にある。

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