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八村塁の“休養”に考える代表選手のケアと育成年代への警鐘「バスケ以外のことをやったほうがいい」の真意とは? 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2022/02/01 11:01

八村塁の“休養”に考える代表選手のケアと育成年代への警鐘「バスケ以外のことをやったほうがいい」の真意とは?<Number Web> photograph by Getty Images

長期離脱を経て復帰を果たした八村塁。報道陣の前で「戻ってこられてうれしい」と笑顔をのぞかせた

 代表活動における選手の疲弊対策も、引き続き考えていかなくてはいけない課題だ。

「代表活動に来ることで他の選手に比べて心身への負担が大きくなりがちですが、日本のトップの選手たちが集まって練習したり、国際試合に行って高いレベルの国の選手と対戦するという経験が得られるし、代表選手だというセルフプロモーションにもなる。単なる負担ではなく何かを得るための投資でもあるんですよ」

 実際、高いレベルに触れることが刺激となり、ふだんのモチベーションにもなる。マイナスだけでなくプラスもあるから、どうするべきだと一概に決めつけることはできない。それでも協会で選手を相手にしている立場として、何ができるかは常に考えていきたいと言う。

「スタッフとして、選手に代表活動に来て良かったと思ってもらいたいです。今回の八村選手の件があったからというわけではないですけれど、JOCとしてはSNSに関しての教育をしていたり、BリーグもWリーグも新人研修をしているように、選手に何ができるか考えていきたいです」

 そういった意味で、佐藤は新しく女子代表のヘッドコーチになった恩塚亨のアプローチに期待していると言う。

「彼は原理原則とワクワクを軸にしてやっていきましょうと言ってやっています。自分を批判的に見るのではなく、なりたい自分になる、ということを言っている。ものの考え方を変えようとしているんです」

 もちろん、これはひとりの存在、ひとつの取り組みだけですべてが解決できるような簡単な問題ではない。それでも、少しずつできることから変えていく。八村の例も、ほかの選手が自分のバスケットボールとの向き合い方を再考するきっかけになるかもしれない。

 東京オリンピックという、多くの選手が目標にしてきた大きなイベントが終わった今だからこそ、そういった根本のところから見つめ直すときなのではないだろうか。

 日本バスケットボール協会が掲げている「バスケで日本を元気に!」という目標のためにも──。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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