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八村塁の“休養”に考える代表選手のケアと育成年代への警鐘「バスケ以外のことをやったほうがいい」の真意とは?
posted2022/02/01 11:01
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
「僕は13歳の時からずっとバスケットボールをしてきました。日本にはバスケットボールのシーズンというものはなくて、1年中プレーしています。オフシーズンがなかったんです。(ゴンザガ)大学に入ってからも、夏には日本代表で活動していて、去年もシーズン後に日本に戻り、(東京オリンピックで)代表としてプレーしました。きつかったです」
1月9日、今季デビュー戦となったオーランド・マジック戦の後に、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)が語った言葉だ。
“個人的な理由”のためにチームへの合流が遅れ、今シーズン前半を欠場した八村は、「子供のときからずっとクレイジーな感じでやってきて、休みが必要でした」とも語っている。詳細への言及は避けたが、最近3年だけ考えてもNBA入り、FIBAワールドカップ、東京オリンピックと大きな出来事がいくつも続き、さらにそれらをコロナ禍という変則的な状況に中で過ごしたことも影響したことは想像に難くない。
「もやもやしている」「協会として何ができるか」
このコメントが掲載された記事を読んで、佐藤晃一(日本バスケットボール協会スポーツパフォーマンス部会部会長)は少し複雑な気持ちになったという。
協会において佐藤は、トレーニングスタッフとメディカルスタッフを束ねる立場にあり、育成にも、強化にも携わっている。6年前に技術委員長の東野智弥に引き抜かれて現職に就くまでは、アメリカの大学やNBAチームで働いた経験があり、現在、八村が所属するウィザーズでリハビリテーション・コーディネーターを務めていたこともある。
八村のコメントを読んだ佐藤は、その複雑な思いを共有するために、協会内の強化・育成部署の仲間にも記事を送り、こんな問いかけをした。
「この記事を読んで、僕はもやもやしています。育成、普及の現場と、強化でやっていることに、矛盾まではいかないけれど差異がある。このことをちゃんと認識して、我々協会として何ができるかを考えませんか」