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日本人がやりがちな「根性練習」「長時間練習」の大問題…バスケとラグビーで日本代表を勝たせた外国人“鬼コーチ”が語る
posted2021/10/24 17:02
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO/Getty Images
エディーとトム。
11月から始まるテストマッチに備えてイギリスにいるエディー・ジョーンズ氏(現イングランド代表HC)と、アメリカに帰国していたトム・ホーバス氏のふたりの対談が実現したのは、オンラインのおかげである。コロナ禍の前だったら、企画として思いつかなかったかもしれない。
このふたり、面識はなかったにもかかわらず、挨拶を終えると、いきなり話が転がり出した。
まず、エディーさんが問う。
「トム、対談にあたっていろいろと記事を調べましたが、あなたは練習、合宿を通して選手たちに『信念』を植えつけたようですね」
それに対してトムさんが答える。
「私がコーチを務めていた2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでも、日本はとてもいいチームだったんです。ところが準々決勝で負けてしまった。その理由を探っていくと、選手たちに番狂わせを起こすほどの自信がなかったことが分かってきたんです」
こんな調子だから、東京で司会を務める私の出番がないと思ったほどで、時間目いっぱいふたりは話し込んでいた。
「根性練習」「長時間練習」の問題点
さて、ラグビーとバスケットボールという体格、上背、フィジカルが決定的な要素になりかねない競技で、ふたりは世界を驚かせた。対談のなかで浮かび上がってきたのは、ふたりのコーチングにおける共通点である。対談のなかで出た言葉としては……。
世界と戦うためには明確なゲームプランが必要になるが、そのためにはデータの活用が重要になる。女子日本代表の場合、トムさんが参考にしたのはNBAのゴールデンステイト・ウォリアーズ。3ポイントシュートがプランの鍵になった。
「いまだにパワーバスケが幅を利かせていた世界の女子バスケット界の、スタンダードを変えたかったのです」