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日本人がやりがちな「根性練習」「長時間練習」の大問題…バスケとラグビーで日本代表を勝たせた外国人“鬼コーチ”が語る

posted2021/10/24 17:02

 
日本人がやりがちな「根性練習」「長時間練習」の大問題…バスケとラグビーで日本代表を勝たせた外国人“鬼コーチ”が語る<Number Web> photograph by AFLO/Getty Images

東京五輪で女子バスケを銀メダルに導いたトム・ホーバス氏(左)。2015年W杯、ラグビー日本代表を率いて3勝を収めたエディー・ジョーンズ氏。2人の対談が実現した

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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AFLO/Getty Images

 Number最新号「新しい金メダリストのつくり方」では、スケボーの堀米雄斗を筆頭に新しいタイプのアスリートの「育ち方」を大特集。その特集内で、2つの日本代表チームで世界を驚かせた2人の“鬼コーチ”による対談が実現した。男子ラグビーのエディー・ジョーンズと、女子バスケットボールのトム・ホーバス。強烈な個性を持つ名将同士が語り合った記事「日本人よ、“悪魔”を解き放て!」について、司会を務めた生島淳氏が綴った。

 エディーとトム。

 11月から始まるテストマッチに備えてイギリスにいるエディー・ジョーンズ氏(現イングランド代表HC)と、アメリカに帰国していたトム・ホーバス氏のふたりの対談が実現したのは、オンラインのおかげである。コロナ禍の前だったら、企画として思いつかなかったかもしれない。

 このふたり、面識はなかったにもかかわらず、挨拶を終えると、いきなり話が転がり出した。

 まず、エディーさんが問う。

「トム、対談にあたっていろいろと記事を調べましたが、あなたは練習、合宿を通して選手たちに『信念』を植えつけたようですね」

 それに対してトムさんが答える。

「私がコーチを務めていた2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでも、日本はとてもいいチームだったんです。ところが準々決勝で負けてしまった。その理由を探っていくと、選手たちに番狂わせを起こすほどの自信がなかったことが分かってきたんです」

 こんな調子だから、東京で司会を務める私の出番がないと思ったほどで、時間目いっぱいふたりは話し込んでいた。

「根性練習」「長時間練習」の問題点

 さて、ラグビーとバスケットボールという体格、上背、フィジカルが決定的な要素になりかねない競技で、ふたりは世界を驚かせた。対談のなかで浮かび上がってきたのは、ふたりのコーチングにおける共通点である。対談のなかで出た言葉としては……。

 世界と戦うためには明確なゲームプランが必要になるが、そのためにはデータの活用が重要になる。女子日本代表の場合、トムさんが参考にしたのはNBAのゴールデンステイト・ウォリアーズ。3ポイントシュートがプランの鍵になった。

「いまだにパワーバスケが幅を利かせていた世界の女子バスケット界の、スタンダードを変えたかったのです」

【次ページ】 「根性練習」「長時間練習」の問題点

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