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「ほぼほぼ引退で固まっていた…」スノーボード・竹内智香38歳が2年半の休養を経て、6度目の五輪に挑む理由
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2022/01/23 06:00
1983年生まれの竹内智香。同じくスノーボード・アルペン代表の三木つばさとは20もの年齢の差がある
「この2年半の間、競技から離れて、平昌オリンピックのあとはほぼほぼ引退で固まっていました。それでも引退を口にしなかったのは、心の奥底にやりたい気持ちがあったからだと思います」
競技から離れていた間、積極的に雪上に向かうことはなかったという。一方で地域活動などに地道に取り組んだ。その時間がいつしか、競技への思いを醸成したのかもしれない。
竹内の背中を押す存在もあった。長野五輪で金メダル、ソルトレイクシティ五輪で銀メダルを獲得したスピードスケートの清水宏保だ。
清水らとスキーを楽しむ中、竹内は「やれるならやった方がいい」と言葉をかけられた。
心のなかではすでに復帰への道筋を描きつつあっただろう竹内にとって、そのときの清水の言葉は、絶好のタイミングでの欲しかったひとことだった。
また、復帰に踏み切れたのは、清水に限らず周囲の支援も大きかったのも理由ではないか。休養中に地域活動など取り組んでいた竹内の行動をつぶさに見ると、所属先をはじめ竹内を支えてきた企業が変わらず、彼女をサポートしていたことがうかがえる。
6度目の五輪で目指すもの
復帰を発表したとき、竹内はこう語った。
「自分でもなんとなく5回で終わりかなと思っていました。6回目になれば、次の世代に伝える上でも新しい引き出しになりますし、好奇心が強いです」
そして北京五輪までの時間をこう表現する。
「どうやって這い上がっていけるのか、興味深い時間になります」
復帰後、以前のような成績は残せなかったが、それでも昨年の2月、ロシアでのワールドカップスラロームで3位となり、3月にはスロベニアでの世界選手権ジャイアントスラロームで7位。今シーズンは昨年12月、イタリアでのジャイアントスラロームで7位と上位の成績を残している。
そして北京五輪代表の位置まで這い上がった竹内は、6度目の大舞台でどのような光景を見るのか、そして見せるのか。
スタートまではもうすぐだ。