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《真相》巨人・松井秀喜の背番号が一茂の「36」ではなく「55」になったワケ…長嶋監督は「何番でもいいですよ」<身長2mの19歳秋広が継承>
posted2022/01/14 17:03
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
ここ数年の巨人キャンプの取材で戸惑うことがある。
球場で選手の姿を追うときに、必ず見るのは背番号なのだが、原辰徳監督が3度目の監督に復帰した2019年オフに14人の選手の背番号をシャッフル。その後も毎年、若手選手を中心に背番号の変更が行われてきている。
しかも今季から背番号「2」を背負うことになった吉川尚輝内野手の場合は、入団時の「0」が20年には「29」になったと思ったら、「2」に。また昨年、ブレークした松原聖弥外野手も、今季からは引退した亀井善行外野手がつけていた「9」を背負うことになったが、育成から支配下登録されて背番号「59」となったのが2018年で、昨年には「31」となったばかり。2年連続で背番号が変更となっている。
もちろんこうした背番号シャッフルには原辰徳監督の意図がある。
背番号にはそれぞれのチームの歴史があり、その歴史を背景に、特別な意味を持つ番号がある。
「55」を背負うことになった秋広優人
例えば巨人の場合、吉川がつける「2」はかつては名手と謳われた広岡達朗さんがつけていた番号だ。その後も野球巧者の内野手がつける番号として受け継がれ、近いところでは元木大介ヘッドコーチが現役時代につけていた番号となる。また松原の「9」は同じ外野手で、長年チームの精神的支柱だった亀井の後を継ぐという意味合いが込められたものなのはいうまでもない。岸田行倫捕手が「38」から変更になった「27」は、V9の頭脳と言われた森昌彦(現祗晶)捕手がつけていた捕手番号だ。
吉川や松原は成長を認められて最初の背番号変更が行われ、そしてようやく彼らの役割にふさわしいそれぞれの番号をつける資格を認められたということである。同時に同じ番号をつけてきたOBたちに恥じない選手になって欲しいという、原監督の期待が込められた変更とも言えるだろう。
そうした背景の中、今年の背番号の変更で最も注目を集めたのが、それまでの「68」から巨人で、というより球界で、特別な意味を持つ「55」を背負うことになった秋広優人内野手だろう。
松井秀喜さんの背番号「55」だ。