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リーグワン開幕節で見えたラグビー界の“変化の兆し”とは? Jリーグをロールモデルに「地元の結束、一体感の醸成」を実現できるか
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJIJI PRESS
posted2022/01/11 17:00
味の素スタジアムで行われたリーグワン開幕節の“府中ダービー”は、東京SGが60対46でBL東京に勝利。寒空のもと観戦に詰めかけたファンに熱戦を届けた
真の「変化」は地道な積み重ねの先にある
オミクロン株の急速な拡大により、開幕節のディビジョン1は6試合のうち2試合が延期された。「埼玉」と略される埼玉パナソニックワイルドナイツは、16日の第2節も中止が決定している。試合登録に必要な選手が、揃わないと判断されたためだ。
全チームが試合を消化していないだけに、ピッチ内の変化を読み解くにはもう少し時間が必要だろう。そのうえで言えば、リーグワンの成功には「観られている意識を磨くこと」が大事になってくる。
リーグワンは「地元の結束、一体感の醸成」をミッションのひとつにしている。Jリーグで言うところの地域密着、地域貢献を指していると思うが、ホームゲームで大がかりなイベントをしろとか、地元と結びつくためにお金をかけろ、などということではないだろう。
Jリーグの各クラブを見ていて感じるのは、地道な積み重ねが結局は大切ということだ。地元の小学校や高齢者施設を訪問する。地元の商店街へ選手が足を運んで、地域のイベントに参加する。スポーツチームのノウハウを生かして、健康教室を開く。
人々の日常に無理なく、前向きに、絶え間なく関わっていくことが、そのチームの価値を高めていく。ホストエリアの人たちにとって、応援したい対象となっていく。その先には、W杯ごとのブームではなく、リーグ戦を土台とした未来があるはずだ。
リーグワンになって、何が変わったのか――いまはまだラグビーに興味のない人が、トップリーグからリーグワンに変わったことに気づき、リーグワンを構成するクラブの名前を覚えたら、「変わった」と言えるのだろう。
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