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ちょっとヤンチャ、だけど純粋「帝京大ラグビーの主将」のイメージを覆す細木康太郎が稀有なリーダーである理由《3年ぶり対抗戦優勝》

posted2021/12/10 11:03

 
ちょっとヤンチャ、だけど純粋「帝京大ラグビーの主将」のイメージを覆す細木康太郎が稀有なリーダーである理由《3年ぶり対抗戦優勝》<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

帝京大ラグビー部の主将を務めるPR細木康太郎(4年)。熱い気持ちを全面に出してチームを牽引する

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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Nobuhiko Otomo

「僕は正直、3年生までは、人の話もちゃんと聞かなかったり、人としての初歩的な部分ができてないようなところがあったんです」

 あまりに正直な、もとい、飾らない言葉に、会見場は和やかな笑いに包まれた。

 言葉の主は、帝京大学ラグビー部の細木康太郎主将。12月4日、関東大学対抗戦グループの最終戦で慶大を64-14で破り、3年ぶり10度目の優勝を決めた。細木は前節の明治大戦で負傷したために欠場したが、試合後の記者会見に出席した。

 この会見のほんの数分前に行われた敗者・慶大の会見で、記者は原田衛主将に、細木について質問した。細木と原田は桐蔭学園の同期だ。2017年度の桐蔭学園は、春の選抜大会で初優勝。初の単独優勝が期待された冬の花園では準決勝で大阪桐蔭に敗れたが、8分間に及んだロスタイム、“64フェイズ”にわたった猛攻は今も語り草だ。その試合で、原田はキャプテンで2番のフッカー、細木が3番のプロップだった。ともにスクラムを押し、ボールを持って相手のタックルが飛んでくる中を突き進んだ仲なのだ。

「細木選手とはピッチで対戦できませんでしたが……」。その問いに原田は答えた。

「去年は(細木が)ケガで直接対戦できなかったので、今年は試合で戦いたいねと話していたのですが……。でもキャプテンとしての振る舞いや言葉を見ていて、チームをよくまとめているな、高校の時よりも成長しているなと思いました。なんか、上から言ってるみたいですが(笑)」

 会見場が和やかな空気に包まれた。原田が自ら「上から言ってるみたい」と照れた言葉に、温かい2人の関係性が垣間見えたからだ。実際、細木は原田のことをこう言っていた。

「高1で初めて会ったときからラグビーは上手いし勉強はできるし努力家でリーダーシップもすごい。人生で出会ってきた中でもホントに尊敬できる人間です。明治との試合のあとも『ケガは大丈夫か?』と気遣うメッセージをくれて。ホントにいい友達です。対戦したい気持ちはすごくありました」

 少し間を置いて始まった勝者の会見。別の記者が細木に聞いた。「原田くんが、細木くんのことを『成長しているなと思った』と言ってましたが」。細木は少し笑みを浮かべて答えた。

「僕が成長した部分は、僕のすべてかな、と思っていて……」

 そして冒頭に紹介した「人の話も聞かなかった」という告白へと続いたのだ。

【次ページ】 主将像に収まらない細木のキャラクター

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