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《絶叫の有馬記念》「あのディープが届かない…」無敗の武豊&ディープインパクトが負けた日 

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勝木淳

勝木淳Atsushi Katsuki

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posted2021/12/24 17:01

《絶叫の有馬記念》「あのディープが届かない…」無敗の武豊&ディープインパクトが負けた日<Number Web> photograph by KYODO

無敗馬のディープインパクトと武豊騎手を退け、2005年の有馬記念を制したハーツクライとC・ルメール騎手

 大観衆の絶叫が、たった310mの中山の直線で激しく交錯する。これまでのレースとは違い、先に抜け出したハーツクライとの差を詰められないディープインパクトは、最後は脚色が同じになってしまい、はじめて前にいた馬を取り逃がした。競馬ではペースを支配すれば、不可能を可能にできる。これをあまりに鮮やかに証明したレースだった。

 ハーツクライとルメール騎手があげた大金星はフロックでもなんでもなく、実力だったことを我々は翌年に知らされる。3月ドバイシーマクラシックでは欧州年度代表馬のウィジャボードらを相手に先行してノーステッキで4馬身差圧勝。7月、英国へ渡り、欧州中距離路線の最高峰であるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS3着。ハーツクライは世界を席巻した。

世界に通用する2頭が交差した名勝負

 デビューから圧倒的な強さで魅了したディープインパクト、4歳秋に秘めていた能力を爆発させたハーツクライ。有馬記念は世界に通用する2頭の成長曲線が交差したレースだった。ハーツクライは古馬になって覚醒する。この言葉はのちにシュヴァルグランやリスグラシューなどの産駒たちに受け継がれる。

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