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伊藤智仁コーチが人差し指を1本“立てざるを得なかった”ワケ…ヤクルト高橋奎二がオリックスを完封できた《4つのポイント》 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2021/11/22 12:37

伊藤智仁コーチが人差し指を1本“立てざるを得なかった”ワケ…ヤクルト高橋奎二がオリックスを完封できた《4つのポイント》<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

初の完封を日本シリーズで達成したヤクルト高橋

 本来ならもっと早く7回を投げ終わった時点で継投に入るのがシーズン中の形だった。しかしあと「1回はいける」と8回もマウンドに送り出して、ムリを承知で引っ張った。そしてその8回を四球1つだけで、危なげなく無失点で乗り切ったことで、球数は関係なく伊藤コーチが指を1本を立てざるを得なかった。公式戦で完封経験のない投手が日本シリーズで完封したのは、1966年の第6戦巨人・益田昭雄投手が記録して以来、55年ぶり2人目という快挙だった。

 全ては前日の勝ちパターン崩壊が生み出したドラマだった訳である。

【ポイント4:3戦目以降のシナリオ】

 1勝1敗のタイとなって、移動日を挟んで23日からは舞台を東京ドームに移した3連戦が始まる。

 ヤクルトにとっては最大のポイントなるのは、崩壊した勝ちパターンをどうやってもう1度、再構築できるか。あのサヨナラ劇からリセットした清水からマクガフという必勝リレーをどの場面で投入できるかが、このシリーズの行方を左右するカギとなるはずである。

 できれば3点差以上の楽な場面で2人を使って、1回、マウンドをリセットできればベストだが、なかなかそうもいかにことも十二分にあり得る。ただ1つだけ確実なのは、清水からマクガフという勝ちパターンの投手起用がなければ、ヤクルトがこのシリーズを勝ち切ることはできないということである。

 移動日を挟み、球場も変わる。

 おそらく第3戦では僅差でも勝っていれば、高津監督は再びこの勝ちパターンを投入して白星を取りにいくことになるはずだ。

 その結果が今年のシリーズの全てを占うと言っても過言ではないだろう。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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