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西武《最高のドラフト》のウラ側…潮崎ディレクターが語る1位公表の理由と投手育成の課題「アマとプロの実力差が開いている」

posted2021/11/22 11:01

 
西武《最高のドラフト》のウラ側…潮崎ディレクターが語る1位公表の理由と投手育成の課題「アマとプロの実力差が開いている」<Number Web> photograph by KYODO

潮崎ディレクター(左)が「1位じゃないと獲得できない」と感じていた筑波大・佐藤隼輔をドラフト2巡目で指名。“最高のドラフト”と評価する声は多かった

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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 11月17日、ドラフト2巡目で指名された筑波大の佐藤隼輔が入団を内諾し、来季から埼玉西武ライオンズのユニフォームに袖を通すこととなった。1巡目の西日本工大・隅田知一郎もすでに契約内定の会見を終えており、大学生トップクラスの実力を誇る投手2名の入団が確定的となった。

 今年、ライオンズが指名した選手はドラフト指名の6名と、育成ドラフト指名の4名で、計10名のうち投手が5名、野手が5名という内訳となった。人数では半々だが、野手のうち捕手が2名、そして上位指名2名がともに左投手という点に着目すると、バッテリー強化と、左腕の即戦力を獲得したかったという球団の明確な意図が見える。

《西武ドラフト指名一覧》
1位 隅田 知一郎・投手(西日本工業大)
2位 佐藤 隼輔・投手(筑波大)
3位 古賀 悠斗・捕手(中央大)
4位 羽田 慎之介・投手(八王子学園八王子高)
5位 黒田 将矢・投手(八戸工大一高)
6位 中山 誠吾・内野手(白鴎大)
育1位 古市 尊・捕手(四国IL・徳島)
育2位 滝沢 夏央・内野手(関根学園高)
育3位 菅井 信也・投手(山本学園高)
育4位 川村 啓真・外野手(国学院大)

 その裏側にはどんな戦略があったのか。編成グループのディレクターを務める潮崎哲也氏に話を聞いた。

「ドラフト1位公表」の理由

「今ではなく、数年後に『この年のドラフトは成功だったね』と言われるのが理想なんですが」と前置きをした上で、潮崎氏はこう語った。

「現時点においては最高のドラフトだった、最高の指名ができたと思っています。その年の方針が決まるのは比較的、早い段階なのですが、今年は最終的に候補選手を決めたのはドラフトの間近でしたね」

 ライオンズは隅田の1巡目指名をドラフト3日前の10月8日に公表した。近年、ドラフト指名の公表を控えていたライオンズだけに、この行動には並々ならぬ意気込みを感じた。

「編成会議で最終的に『隅田で行こう』と決まったときに、マスコミを通じて公表することも決めました。人気のある選手だと思っていたので、いち早く公表することによって1球団でも指名が重なる確率が少なくなれば……という思いからです。

 もしかしたら5球団、6球団は指名するのではないかと考えていたので、公表した効果はあったと思いますね。4球団で済んだ。ラッキーだったと思いました」

【次ページ】 隅田か、佐藤か「最後まで迷った」

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