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《マイルCS》グランアレグリアvsシュネルマイスターでも「4頭のGIホース」が不気味…“一発”がある「強い3歳世代」の一頭とは?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/11/20 06:00
3歳馬ながら、強い競馬で毎日王冠を制したシュネルマイスター
3歳馬が古馬と互角以上に戦えるようになった理由
にもかかわらず、歴戦の古馬を相手に3歳馬が互角以上に戦えるようになったのはなぜか。
それは、若駒の馴致・育成・飼養管理の技術と調教施設などが進化したことによって、競走馬の仕上がりが早くなり、3歳秋の時点での古馬との力の差が以前より小さくなったからだと思われる。
坂路やトレッドミルなどの設備が充実した外厩で仕上げられて2歳の夏ごろまでにデビューした素質馬は、新馬戦を勝ってからすぐには使わず休ませて成長を促し、翌年のクラシックに備える。現に、ペルシアンナイトは2歳時の8月、ステルヴィオは6月にデビューしている。
こうした時流も、シュネルマイスターを後押ししている。
ラストランでグランアレグリアは有終の美を飾る?
これがラストランとなるグランアレグリア(牝5歳、父ディープインパクト、美浦・藤沢和雄厩舎)も、万全の状態で出てきそうだ。
昨年、安田記念、スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップを制して最優秀短距離馬に選出された。今年は距離を延ばしたレースをローテーションに組み込み、大阪杯4着、ヴィクトリアマイル1着、安田記念2着、天皇賞・秋3着。2000mでも崩れることはなかったが、マイルで見せたような圧巻の走りを披露することはできなかった。
しかし、ここは最も力を出せる舞台。クリストフ・ルメールとのコンビで、史上6頭目となる連覇を狙う。
過去にマイルチャンピオンシップを連覇したのは、1984、85年のニホンピロウイナー、1991、92年のダイタクヘリオス、1997、98年のタイキシャトル、2003、04年のデュランダル、2006、07年のダイワメジャーと、競馬史に残る名マイラーばかりが、グランアレグリアがここに名を連ねるにふさわしい馬であることは言うまでもない。
「グランアレグリアは“牝馬版”タイキシャトル」
3歳の勝ち馬としても登場したタイキシャトルは藤沢調教師の管理馬で、同師は歴代最多の5勝を挙げている。来年2月一杯で定年を迎えるため、これが最後のマイルチャンピオンシップとなるのだが、藤沢師は以前から「グランアレグリアはタイキシャトルを牝馬にしたような感じだ」と話している。
天皇賞・秋で好走した馬がここでも勝ち負けになる傾向があるだけに、中2週の間隔は心配ない。
呆れるほどの強さを誇示した昨年同様のパフォーマンスが期待できる。