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《マイルCS》藤沢和雄師が28年前のGI初制覇前に取った“まさかの行動”とは? シンコウラブリイからグランアレグリアまで変わらない信念

posted2021/11/19 11:01

 
《マイルCS》藤沢和雄師が28年前のGI初制覇前に取った“まさかの行動”とは? シンコウラブリイからグランアレグリアまで変わらない信念<Number Web> photograph by Sankei Shinbun

1993年のマイルチャンピオンシップを制したシンコウラブリイ

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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Sankei Shinbun

 今週末の21日、阪神競馬場でマイルチャンピオンシップ(GI)が行われる。

 過去にこの秋のマイル王決定戦を5回も勝っているのが藤沢和雄調教師だ。

 最初に制したのは1993年。マイル路線を突き進んだシンコウラブリイが現役最後の1戦でこれを優勝。この名牝にとっても、後に伯楽の名をほしいままにする藤沢和調教師にとっても初めてとなるGI制覇を飾った。

 その4年後には現在でいう3歳(当時は4歳表記。以降すべて現在の数え方で表記)のタイキシャトルが勝利すると、同馬は翌夏にフランスへ飛びジャックルマロワ賞(GI)も制覇。帰国後にはマイルチャンピオンシップ連覇を果たしてみせた。

 2001年にゼンノエルシドで同レース4勝目をあげると、2020年にはグランアレグリアが圧勝。冒頭で記したようにこれが実に5度目のマイルチャンピオンシップ制覇となった。

 さて、今回はその中から最初の勝利となったシンコウラブリイとのエピソードを記させていただこう。

シンコウラブリイと挑んだマイルCS

 先述した通り、厩舎にとってもこれが初のGI制覇となったシンコウラブリイのマイルチャンピオンシップ。同馬にとってラストランのこのレースは現役生活15戦目であった。

 2歳の秋、東京競馬場の新馬戦でデビュー勝ちを飾ると、中1週の福島競馬場で楽々と連勝。更に中1週で挑んだ阪神3歳牝馬S(GI、現阪神ジュベナイルフィリーズ)でニシノフラワー、サンエイサンキューの3着に敗れ初めて土がつくと、その後、ひと息入れた。

 3歳の春はカーネーションCでひと叩きすると、ニュージーランドT4歳S(GII、現ニュージーランドT)、ラジオたんぱ賞(GIII、現ラジオNIKKEI賞)を連勝。約3カ月の休みを挟んで秋にはクイーンS(GIII)、富士Sを勝利して連勝を4に伸ばした。その後、マイルチャンピオンシップに挑戦したのだが、3歳の身で挑んだこの92年は5歳牡馬ダイタクヘリオスの2着に惜敗した。

「敗れはしたけどまだキャリアの浅い若い女の子の身で古馬牡馬にまざってのGIで2着。将来が明るくなる結果といえるでしょう」

 藤沢和調教師は悔しそうな表情の中にも目を輝かせてそう語ったものだ。

【次ページ】 休養中のシンコウラブリイに取った“まさかの行動”

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