Jをめぐる冒険BACK NUMBER
日本代表の《物足りなさ》に打開策はあるはず 守田英正や田中碧の成功を受けて、三笘薫や前田大然ら“東京世代”に出番を
posted2021/11/12 17:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
JFA/AFLO
カタールW杯アジア最終予選も5試合を終えた。終わってしまった、と言ってもいいだろう。しかし、「これが日本代表だ」と胸を張れるゲームはここまでひとつもない。
2-1と勝利した先月のオーストラリア戦にしても、前半は及第点以上の出来だったが、後半はかなり追い詰められた。
今回のベトナム戦も1-0と勝利したものの、内容はもちろん、同組上位のサウジアラビアやオーストラリアとの得失点差を考えれば、結果だって物足りない。
不運があってもナイーブにならなかったという成長
しかし、ポジティブな要素がないわけではない。
吉田麻也や冨安健洋をはじめとする欧州組11人が、経由地のロシアでトラブルによって12時間も足止めを食らい、試合前日からしかトレーニングに参加できなかったというのは前代未聞の事態である。
加えて、前半終了間際に生まれた伊東純也の“ゴラッソ”が、VARによって田中碧のオフサイドと判定され取り消されるという、最大級の不運もあった。
いずれも計り知れないダメージをもたらしたはずだが、今予選が始まった頃にチームに漂っていたナイーブさが顔を覗かせることはなく、動揺が伝わって来ることはなかった。
「どんな感情?(笑) 別に、まあ、しょうがないかなと思いました」と伊東がまるで他人事のようにさらっと振り返れば、ポルトガルのアゾレス諸島という最も遠く離れた場所から合流した守田英正もチームメイトの思いを代弁するように言う。
「みんな万全ではなかったと思います。そこは事実としてはっきり言っておきたい。ただ、海外でやっていて移動が多いのはあらかじめ分かっていることだし、アクシデントなんて当たり前に起こる世界なので」
課題山積とはいえ4-3-3の整理が進んだ
アジア最終予選を戦いながら、チームは間違いなく逞しさを増している――。
11月11日にハノイで行われたベトナムとの第5戦は、そう感じさせるゲームだった。
この勝利によって日本は今回の最終予選初の2連勝、さらにシリーズ2連戦の初戦での初白星を掴むことに成功した。
オーストラリア戦での本格導入から2試合目となる4-3-3の新システムも、前回より整理が進んだ印象だ(それでも課題は山積みだが)。