Jをめぐる冒険BACK NUMBER
日本代表の《物足りなさ》に打開策はあるはず 守田英正や田中碧の成功を受けて、三笘薫や前田大然ら“東京世代”に出番を
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJFA/AFLO
posted2021/11/12 17:02
ベトナム戦で出番のなかった三笘薫。前田大然や旗手怜央ら、東京五輪世代のフレッシュな躍動を目にする機会は来るのか
ベトナム戦では前半、インサイドハーフの守田が左サイドに開いて攻撃の起点となる場面が多かった。5-3-2で構えるベトナムの3ボランチの脇に生まれるスペースを活用し、左サイドバックの長友佑都に高い位置を取らせ、左ウイングの南野拓実を内側でプレーさせるローテーションを機能させた。
「ボールも受けられるし、時間も作れるんですけど、(アンカーの遠藤航との)距離が遠すぎたかなと。それでリズムが出ないことがあって」と当人は振り返ったものの、守田が左外に立つことによって相手のキーマンである3ボランチの右、19番のグエン・クアン・ハイを封じることにも繋がり、決して悪くないように見えた。
後半になって変化した左右のメカニズムとは
こうした左サイドのメカニズムが大きく変わるのは、後半に入ってからだ。
63分に長友と南野に代えて中山雄太と浅野拓磨を投入。守田がそれまでプレーしていたエリアで中山がプレーし、浅野がシンプルに裏を狙う戦略に変更した。ベトナムの右サイドにとってみれば、選手のタイプも、攻撃の仕組みも変わり、プレーしづらかったことだろう。
一方、右サイドでは右ウイングの伊東が高い位置を取ってドリブル突破を狙っていたが、後半に入ると、伊東が内側に入って裏を狙い、山根視来が大外に立って伊東を操るといったメカニズムに変更してチャンスを作った。
「後半は5バックの間に立っていたら、視来にプレッシャーがいかなかったので、そこからシンプルに裏に走ったら、何回かいい形ができた」と伊東が振り返る。
相手や戦況に応じて戦い方を変える柔軟さが増してきたことも、ポジティブに捉えていいだろう。
5-3-2と4-3-1-2とシステムは異なるが、ベトナムと同じく3ボランチを採用する次戦のオマーン攻略への“予行演習”にもなったに違いない。
もちろん、4-3-3の成熟度について守田が「全然だと思います」ときっぱりと言うように、対戦相手の出方によって“後出しジャンケン”ができるほど、ビルドアップや攻撃のバリエーションはない。このあたりは、試合をこなしながら積み上げていくしかない。
“影のMVP”級の働きだった守田が、次節出場停止に
ベトナム戦のMVPは、先制ゴールのほかにもチャンスを作った伊東だろう。
一方、陰のMVPには守田を推したい。スペースと時間を支配するだけでなく、巧みなワンタッチパス、的確な状況判断と立ち位置、ゴール前への侵入と、見せ場は少なくなかった。
その守田が累積警告で次戦に出られないのは、あまりに痛い。