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ネイマールは「12歳でレアル勧誘」、ロナウジーニョはどう育った? 王国ブラジル《幼少期の黄金ルートと壮絶な競争原理》とは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/11/14 17:01
2011年クラブW杯でのネイマールvs酒井宏樹。稀代のドリブラーを育てたブラジルの育成とはどうなっているのか
ネイマールは同年代のスペインのエリートを凌駕する技量を発揮し、レアル・マドリーから日本円にして1億円を超える“支度金”と相当額の“給料”を提示された。代理人と父親は乗り気だったが、本人が「友人と別れるのは嫌だ」と嫌がり、帰国した。その際、父親がサントスにレアル・マドリーからの条件提示を匂わせて同等の待遇を引き出したと言われている。
12歳でも流出を避けるために金を出した
ブラジルではプロ契約を締結できるのは16歳以降で、アカデミーの選手は誰もが16~17歳でプロ契約を目指す。ただし、16歳になるまではアマチュアなので、クラブには保有権がない。それゆえ、優秀な選手はそれまでに他クラブに引き抜かれることがある。
引き抜きを防ぐため、クラブは本人ではなく家族に金銭を払うことがある。前述のネイマールへの“待遇”にしても、サントスは当時12歳とはいえネイマールにとてつもない能力があることはわかっており、流出を避けるために金を出したのである。
その後、ネイマールは常に自分の年齢より上のカテゴリーのチームに加わり、その主力として活躍。16歳になった直後にプロ契約を交わすと、17歳1カ月でトップチームからデビューした。後半途中からの出場だったが、いきなりシュートをポストにぶち当ててスタンドを沸かせ、次の試合からレギュラー。U-20では一度もプレーしなかった。
このブラジルの育成システムによって、日本のフットボール史上、特筆される存在となった男がいる。カズこと三浦知良(横浜FC)である。<続く>