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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「日本はW杯に出て当然」の認識は正しいのか… 恵まれすぎな《アジア4.5枠》と、本大会での“残酷なまでの各大陸の実績格差”
posted2021/11/11 17:03
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Naoya Sanuki
近年、日本の一部メディアとファンからは、「アジア予選を突破してW杯に出場するのは当たり前。問題は、ベスト16の壁を打破できるかどうか」という声が聞こえてくる。
1993年にプロリーグが誕生し、それから5年後のW杯に初出場して以来、6大会連続でアジア予選を勝ち抜いている。そのうち3大会でグループステージ(GS)を突破してベスト16入りしているのだから、そう考えるのは自然なことかもしれない。
しかし、2021年10月現在の日本のFIFAランキングは28位。B組のライバルであるオーストラリアが34位、サウジアラビアが49位、オマーンが77位。W杯に参加するのは32カ国だから、ランキング通りならB組からは日本だけが出場できることになる(ちなみに、A組のイランがアジア勢最高の22位で、韓国は35位。ランキング通りなら、A組からはイランだけが出場に値する)。
数字で見ると、大陸間の実力差は想像以上に大きい
アジアで強豪国と呼ばれる国であっても、FIFAランキングは32位より下であることが多い。また、いつのW杯でも上位を占めるのは欧州勢と南米勢で、アジア勢はたいていGSで敗退する、というイメージがある。
それゆえ、「W杯の出場枠は各大陸の実力を正確に反映しているのか」という疑問が生じる。そこで、日本が初出場した1998年以降の6大会における大陸別のグループステージ(GS)突破率を調べてみた。
32カ国が出場してその半数がGSを突破する。そこで、GSを勝ち上がれば“平均点以上”、敗退なら“平均点以下”とみなし、各大陸の平均的なレベルを測りたいと考えた。
南米:73%
欧州:62%
北中米:50%
アジア・オセアニア:22%
アフリカ:19%
注:便宜上、アジアとオセアニアを統合した
各大陸の大まかな力関係は知っていたつもりだが、こうして数値化してみると驚きを隠せない。