年俸総額はインテルの3分の1以下…強豪へと成長した“青春のチーム”アタランタが抱える見えない爆弾とは？

　アタランタはいつまで“青春のチーム”でいられるだろうか。

　若々しく熱気にあふれる彼らが、本格的な冬の訪れを前に今季も調子を上げてきた。

　開幕後からDFハテブールにDFゴセンス、MFペッシーナ、DFジムシティと主力に怪我が相次ぎ、一時は10位と出遅れたが、MFデローンの3バック起用やDFロバートら若手の抜擢など指揮官ガスペリーニの用兵術が奏功し、12試合を終えて4位にきっちり浮上してきた。

プロビンチャーレと侮る者はもはや誰もいない

　3年連続出場中の欧州チャンピオンズリーグでも、2試合を残してグループリーグ突破の可能性を十分に残している。

　大会前にビジャレアルのエメリ監督が「アタランタはインテルやミラン、ユベントスと同等の強敵」と称えれば、先月イタリア国内のイベントに招かれた欧州王者チェルシーの指揮官トゥヘルも、こう彼らを絶賛する。

「アタランタはセリエA全体のプレースタイルや攻撃へのメンタリティへ影響を与えたというのが私の考えだ。彼らのサッカーは見るだけで胸躍るエンターテイメントであるだけでなく、（2年連続CLベスト16以上という）ハイレベルの結果も出している。アタランタは特別なチームだ」

就任6年目を迎えたガスペリーニ監督のもと、アタランタは着実に強豪への道を歩んでいる©Getty Images

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　ガスペリーニ体制6年目を迎えたアタランタは、チームとして変質しつつある。

　強豪に追いつけ追い越せとがむしゃらに突っ走る段階は過ぎた。一時（いっとき）だけの勢いではなく、恒常的な強さを身につけた彼らを、たかがプロビンチャーレと侮る者は、もはや誰もいない。

年俸総額はインテルの3分の1にも満たない

　監督からも選手からも、強者としての自信が伝わってくる。今やアタランタは、押しも押されもせぬ強豪だ。

　だが、そこに一抹の危うさが匂う。

　先月中旬、ペルカッシ会長は地元ロンバルディア州の表彰イベントで今後の経営目標を問われ、「直近3シーズンでCLに出場してきた今の路線を継続することだ」と明言した。会長は“脱プロビンチャーレ宣言”をしたのだ。

　2015－16シーズンに13位、その前の年は17位でセリエB降格すれすれだったクラブが、わずか数年で欧州カップ戦の常連になったのだから、変化は劇的だった。

　ただし、変わらないものがある。ビッグクラブとの年俸格差だ。

　アタランタのチーム年俸総額は、セリエAの上位7クラブ中、ずば抜けて低い。

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