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ネイマールは「12歳でレアル勧誘」、ロナウジーニョはどう育った? 王国ブラジル《幼少期の黄金ルートと壮絶な競争原理》とは

posted2021/11/14 17:01

 
ネイマールは「12歳でレアル勧誘」、ロナウジーニョはどう育った? 王国ブラジル《幼少期の黄金ルートと壮絶な競争原理》とは<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2011年クラブW杯でのネイマールvs酒井宏樹。稀代のドリブラーを育てたブラジルの育成とはどうなっているのか

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Takuya Sugiyama

日本サッカーは果たして本当に「世界の列強に伍する」実力を手に入れられるのか。育成という観点から、南米超大国のブラジル在住ライターが記した記事をお届けする(全4回の第2回)

 ブラジルには、日本の約22倍半に及ぶ広大な国土の津々浦々に800以上のプロクラブがある。選手育成の中核を担うのは、これら膨大な数のプロクラブが運営するアカデミーだ。

 中規模以上のクラブのアカデミーには通常、U-6からU-20までのカテゴリーがあり、スカウト、関係者からの推薦、セレクションなどの方法で選手を入団させる。

 かつてはクラブが主催するセレクションが主な募集方法だったが、近年はほとんどのクラブがスカウト部を設置し、なおかつブラジル全土にいる協力者から情報を収集。将来性豊かな選手を奪い合っている。

 クラブにとって、苦労して手に入れた選手たちは“金の卵”だ。月謝は徴収せず、用具も支給する。遠隔地の選手は寮に入れ、そこから学校へ通わせる。この費用もクラブが負担する。アカデミーの最大の目的はトップチームでプレーできる選手、国内外の他クラブへ売れる選手を育成することなので、先行投資というわけだ。

国中どこに生まれてもプロ選手に

 トップチームを持たず、選手育成を専門とするクラブもある。

 やはり、スカウト、関係者からの推薦、セレクションなどの方法で選手を入団させ、プロコーチがみっちり指導して、国内外のプロクラブのアカデミーや、場合によっては直接トップチームへ送り込む。月謝は取らず、選手を売って得た金で運営費を賄い、利益を出す。言うなれば、「プロ選手育成工場」である。

 プロクラブのアカデミーへ選手を送り込むアマチュアクラブもある。地方自治体などが運営し、少額の月謝を徴収することが多い。しかし、貧困家庭の子弟を援助する目的もあり、月謝が払えない場合は免除するケースもある。

 これ以外に、月謝を徴収して選手を育成する、いわゆる街クラブ、プロクラブがフランチャイズ方式で運営するスクールがある。この場合も月謝を取るが「優秀な選手はクラブのアカデミーへ推薦する」というのが謳い文句だ。

 このように、ブラジルで選手を育成する組織は多岐に渡っており、国中どこに生まれてもプロ選手になる道が開けている。

 ブラジルには、一流選手になるための“黄金ルート”がある。

【次ページ】 ロナウジーニョ「フットサルは決定的に重要」

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