熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
森保ジャパン11人の市場価値85億円、ブラジルは548億円 CL出場日本人は南野拓実だけ…強豪国との比較で浮かぶ《個の能力差》
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2021/11/14 17:00
オーストラリア戦の日本代表、先発メンバーの市場価値は約85億円だった
大迫は、ブンデスリーガで24試合(うち先発は7試合)に出場して無得点。カップ戦の4試合に出場して1得点。チームが2部へ降格したこともあって退団した。長友は、リーグ戦38試合のうち25試合に出場したが(うち先発が20試合)、シーズン終了後、クラブから契約延長のオファーはなかった。この2人は残留、もしくは欧州5大リーグの他クラブでレギュラーとしてプレーする力があるとは考えにくい。
この他ではFW伊東純也(ヘンク)、MF守田英正(サンタクララ)、FW古橋亨梧(セルティック)、FW堂安律(PSV)が欧州の5大リーグ以外でレギュラーとしてプレーしており、田中碧はドイツ2部のデュッセルドルフへ移籍したばかりで、MF柴崎岳はスペイン2部のレガネスに在籍している。FW三笘薫は、今年8月、プレミアリーグのブライトンへ移籍したが、すぐにベルギーリーグのサン・ジロワーズへ期限付き移籍した。
GK権田修一は、2019/20年からポルトガル1部のポルティモネンセに在籍したもののレギュラーが取り切れず、昨年12月から清水エスパルスでプレーしている。
要するに、欧州でプレーする選手が多いといっても、強豪クラブでレギュラーとしてプレーできている選手は少ない。
豪州戦先発の市場価格は85億円、ブラジルは6.5倍
ドイツの移籍情報専門サイト「transfermarkt」によれば、オーストラリア戦での日本代表の先発メンバーの市場価格合計は6415万ユーロ(約85億円)である。
一方、南米3強(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ)の代表選手はほとんどが欧州5大リーグで優勝を争う強豪クラブの中心選手。控えにも、欧州ビッグクラブのレギュラーが目白押しだ。コロンビア、エクアドル、チリ、パラグアイといった南米中堅国でも、代表選手が所属するクラブの格は日本代表の選手よりも上であることが多い。
冒頭に挙げたW杯南米予選ウルグアイ戦で、先発したブラジル代表の市場価格合計は4億1500万ユーロ(約548億円)で、オーストラリア戦の日本代表先発メンバーの約6.5倍だ。
過去、ブラジルはペレ、ガリンシャ、ジーコ、ロナウド、リバウド、ロマーリオ、カカ、ネイマールといったスーパースターを輩出してきた。しかし、日本は彼らに匹敵するレベルの選手をまだ生み出せていない。欧州ビッグクラブで数年以上にわたってレギュラーとして活躍した選手は、イタリアの名門インテルで5シーズン、プレーした長友くらいしかいない。
さらに、今年の欧州チャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ(GS)に出場した32チームで、第1節に先発もしくはベンチ入りした697選手の国籍を調べてみた。この大会に出場していないチームにも優れた選手はいるが、どの国がどれだけタレントを輩出しているかを知るための目安になると考えたからだ。