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森保ジャパン11人の市場価値85億円、ブラジルは548億円 CL出場日本人は南野拓実だけ…強豪国との比較で浮かぶ《個の能力差》
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2021/11/14 17:00
オーストラリア戦の日本代表、先発メンバーの市場価値は約85億円だった
定位置を掴んだ冨安、久保はレアル復帰へ……
しかし、現在の日本代表の中で欧州5大リーグで優勝を争うような強豪クラブでレギュラーとしてプレーしているのはDF冨安健洋(アーセナル)ただ1人。今年8月末にボローニャからイングランドの名門アーセナルへ推定1860万ユーロ(約25億円)の移籍金で加わり、本職のCBではなく右SBとしてではあるが、常時出場している。
FW南野拓実もリバプールに所属しているが、今季プレミアリーグ(11月7日までに11試合消化)ではピッチに立ったのは2試合/13分だけ。欧州CLグループステージ(GS)第4節までに2試合に途中出場し、計35分プレーしたが得点、アシストともに0。国内カップ戦で2試合に出場して3得点をあげ、懸命にアピールしているところだ。
期待値の高い20歳の久保建英はどうか。
2019年8月、FC東京から名門中の名門レアル・マドリーへ移籍した。しかし、すぐにリーグ下位のマジョルカへ貸し出され、リーグ戦で35試合に出場して4得点5アシスト。昨季は強豪ビジャレアルへ期限付き移籍したが、先発は2試合にとどまり、13試合に出場したものの得点、アシストともに記録できなかった。出場機会を求めて下位のヘタフェへ移ったが、18試合で1得点1アシストだった。
今季はマジョルカへ復帰したものの、負傷離脱の影響もあり6試合に出場して0得点1アシスト。同世代の日本人では飛び抜けた存在だが、その彼ですらいつ「白い巨人」レアル・マドリーでプレーできるのか不透明だ。
久保がレアル・マドリーでなかなかプレーできない理由の1つに、ブラジル人の若手選手ロドリゴの存在がある。
2人は同い年(20歳)で、ポジションが被り(主に右ウイング)、同じ日(2019年7月1日)にレアル・マドリーと契約を結んだ。いずれも国籍がEU外で、外国人枠を争ってもいる。
ただし、レアル・マドリーが両選手の前所属クラブへ支払った移籍金は異なる。久保の場合は無償でFC東京から獲得したが、ロドリゴを手に入れるため、彼を育てたサントスに4500万ユーロ(約59億円)もの大金を支払っている。それだけに、入団後の2人への扱いも同等ではない。
これまで久保は、一度もレアル・マドリーの公式戦のピッチに立つことなく、スペインリーグの他クラブへ期限付き移籍を繰り返している。これに対し、ロドリゴは常にトップチームでプレーしてきた。
今季はスペインリーグと欧州CLを合わせて14試合に出場して2得点1アシストとやや伸び悩んでいるが、入団以降の成績は71試合に出場して11得点12アシスト。久保の69試合出場、6得点9アシストを上回る。
これまでのところ、レアル・マドリーは久保ではなくロドリゴを選んでいるということだ。
現在のロドリゴの市場価格は3500万ユーロ(約46億円)で、1000万ユーロ(約13億円)の久保の3倍半。しかし、このロドリゴとてブラジル代表ではこれまで3試合に途中出場しただけで、昨年10月を最後に招集されていない。セレソンのハードルは、それほどまでに高い。
Jに戻った酒井や大迫、長友の現状を踏まえると
欧州5大リーグでプレーし、レギュラーとして常時出場しているのは冨安、遠藤航(シュツットガルト)、吉田麻也(サンプドリア)、鎌田大地(フランクフルト)、原口元気(ウニオン・ベルリン)といったところか。一方でこの夏、日本へ戻ってきた選手には酒井宏樹(マルセイユ→浦和)、大迫勇也(ブレーメン→神戸)、長友佑都(マルセイユ→FC東京)がいる。
昨季、酒井はレギュラーとしてプレーしており、急激に力が低下したとは思えない。今季も、5大リーグで常時出場できる力はあったのではないか。