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Xゲームズ最多優勝・安床栄人38歳に聞く“スケボー競技化で生まれた矛盾”「ストリートは日本では受け入れられない」
posted2021/11/13 17:01
2000年代からインラインスケートで世界タイトルを100以上獲得してきた“安床ブラザーズ”の兄・栄人氏
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph by
Akatsuki Uchida
今年の夏、東京五輪のスケートボードでは、男女ともに日本人スケーターが金メダルを獲得する快挙を成し遂げた。しかし、遡ること20年前に、スケートボードと同じ“エクストリームスポーツ”に入る「インラインスケート」で全米を席巻した日本人兄弟がいた。空前のスケボーブームに沸く日本を、彼らはどう見ているのか。話を聞いた（全2回の2回目／前編へ続く）。
2000年代――。ヤストコ・ブラザーズの愛称で、インラインスケート界を席巻した兄弟がいる。
エクストリームスポーツの最高峰“Xゲームズ”を筆頭に、2人で勝ち取った世界タイトルは100以上。本場アメリカでもスポットライトと表彰台を独占し、インラインスケートのみならず、スケートボーダーたちからも称賛の声と敬意の視線を浴びてきた。
その2人――栄人と武士――が滑った後のエクストリームスポーツ界には、競技を問わず、「日本は強い」というある種のブランド力と名声が、深い轍として刻み込まれる。
だからこそ、「日本人のアスリートを生み出し続ける」こと、そしてスケート文化を日本に根付かせることを、彼らは「自分たちが作り上げてきたもの」への、ある種のケジメととらえているようだ。
レジェンドが語る“良いアスリートを輩出する条件”とは
兄の安床栄人（えいと）は現在、父親が神戸市六甲アイランドに設立した“g”スケートパークで、後進の育成にあたっている。弟の武士もまた、神奈川県を拠点に指導者・パフォーマーとして活躍しながら、ときおり“六アイ”を訪れては、世界を熱狂させた滑りを披露する。
“バート”と呼ばれる巨大ハーフパイプがそびえ、東京オリンピック金メダリストの四十住さくらも通ったこのスケートパークは、安床兄弟の父・由紀夫曰く、スケーターたちの「ホーム」だ。
安床兄弟の指導者でもある由紀夫は、良いアスリートを輩出するには、「2つの環境」が不可欠だと明言する。
