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「男として惚れた」と選手も心酔! クロップ、グアルディオラ、トゥヘル……メガクラブで成功した名将たちに共通する能力とは?
posted2021/11/06 17:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
おしゃべりが好きで明るい人がいれば、口数が少なくてひとりを好むタイプもいる。
近頃は「がんばれよ」と肩を叩けばセクハラを指摘され、「もっとしっかりしろ」と語気強く接すると、パワハラだと騒がれる。いやはや、人付き合いは難しい。
その昔、プロ野球の世界で監督と選手の間で事件が起きた。とある超有名な監督が、「バント屋はいないか、バント屋は!?」。そして彼は、走攻守三拍子そろった人気選手を指名する。
当日はベンチだったものの、サードとレフトを高いレベルでこなし、内野手でも外野手でもゴールデングラブ賞を獲得した名手のプライドは、いたく傷ついたという。
選手の心情に配慮を欠いた典型的な一例であり、現代の世相に照らし合わせれば、パワハラと認識されるのかもしれない。
公の場で選手を批判し求心力を失ったモウリーニョ
こうしたアクシデントは、フットボールの世界でも頻発している。
近年ではジョゼ・モウリーニョ(現ローマ監督)が、チェルシーでメディカルスタッフのエヴァ・カルネイロを、マンチェスター・ユナイテッドではポール・ポグバとルーク・ショーを公の場で批判し、求心力を一気に失った。
また、ウナイ・エメリ(現ビジャレアル監督)はアーセナルを率いていた当時、自らのプランに合わないメスト・エジルを徹底的に干して物議をかもした。
戦略・戦術に明るく、チームの根幹を創る能力に長け、柔軟性に富み、若手の起用にも積極的であることなど、名監督の条件には複数の項目が挙げられるが、コミュケーション能力も必要不可欠だ。
天上天下唯我独尊を決め込み、「我こそがいちばん尊い人間だ。背中を見てついてこい」では、いまどき通用しないし、SNSで笑われる。
より選手目線で接する術が求められている。