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「男として惚れた」と選手も心酔! クロップ、グアルディオラ、トゥヘル……メガクラブで成功した名将たちに共通する能力とは?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/11/06 17:00
なぜ彼らは選手の信頼を集め、結果を残すことができるのか。メガクラブを率いる3人に見る名将の条件とは?
チームを去った選手たちもクロップを批判しない
「男として惚れた」(サディオ・マネ)
「彼と出会えたのだから、俺の人生は最高さ」(ロベルト・フィルミーノ)
「一生ついていきたくなる……いや、ついていく」(トレント・アレクサンダー・アーノルド)
リバプールのユルゲン・クロップ監督は、人心を完全に掌握した。何が起きても選手を批判せず、不当な論評には自らを盾にして守る姿勢に、多くの選手が魅入られている。
古巣のドルトムントでスポーツディレクターを務めるミヒャエル・ツォルクも、「彼はコミュニケーションを大切にし、愛情をもって選手、スタッフ、サポーター、メディアに接する。素晴らしい男だ」と絶賛していた。
チームを去った選手たちも、クロップを批判しない。通常、出場機会に恵まれなかった選手は恨みつらみを口にするものだが、クロップが指揮したマインツ、ドルトムント、リバプールを退団していった者は感謝こそすれ、悪口雑言は耳にしたことがない。
また、彼の慧眼にも「恐れ入りました」と脱帽するしかない。
ビルヒル・ファンダイクはともかく、モハメド・サラー、サディオ・マネ、ジョエル・マティプ、アンドリュー・ロバートン、ファビーニョ、アリソンなど、それまでは決してビッグネームではなかった選手たちの才能を見抜き、超一流に育てている。
類稀な戦術家でありマルチリンガル
クロップ体制下7年目の今シーズンは、攻撃→守備の切り替えが若干ルーズで、ハーフスペースを利用されたピンチ、失点も目につくが、組織そのものが一枚岩のリバプールであれば解決策を見出せるに違いない。愛情と情熱豊かな監督がいる限り、マージーサイドの名門は心配ご無用だ。
類稀な戦術家であり、数カ国語を操るマルチリンガルであること。これはジョゼップ・グアルディオラ監督(マンチェスター・シティ)とトーマス・トゥヘル監督(チェルシー)の共通点だ。