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<RIZIN>“朝倉未来を落とした男”がさらに有利に? 金網に囲まれて戦う《ケージ》導入で格闘技界はどう変わるのか
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byGetty Images
posted2021/11/02 17:00
7月にUFCで行われたジャスティン・ポワリエ対コナー・マクレガーの一戦。俯瞰で見ると、直径30フィート(約9.1m)の「オクタゴン」の広さがよくわかる
「(RIZINにおいてケージが)どういった形で継続していくのか見えないところではありますけど、世界的にはユニファイド・ルールがひとつあるので、そういったものを採用するのはすごくいいことだと思う。ナンバーシリーズでもそういった大会が出るのかなとも思っています」
未来と海の朝倉兄弟も、所属する東京・赤坂のトライフォースで試合時間を1分に限定したケージ大会『BreakingDown』の立ち上げに携わるなどケージファイトに興味を抱く。広々とした同ジムには直径9mというフルサイズのオクタゴンが設置されている。7月4日の第1回大会にはユーチューバーとして名を馳せるシバターや武芸十八般・菊野克紀が参戦。9月26日の第2回大会には元幕内力士である坂本正博が出場するなど話題には事欠かない。
見落とされがちなリングの長所
世の中の流れとして、日本でも試合場はケージにシフトしていきそうな勢いながら、リングにはリングのメリットがある。松宮氏は「そもそも格闘技が生まれた場所はリングだった」と考える。
「格闘技=リング。格闘技にはリングとともに歩んできた歴史がある。ややこしい『Don’t move』もゲーム性を含んでいると捉えることもできる」
去る10月24日、横浜・ぴあアリーナMMで開催された『RIZIN.31』を筆者は2階席や3階席から観たが、非常に見やすかった。観客の目線を考え、主催者はロープを細くするという工夫をしていたからだ。正直、ケージだと、ここまで見やすくはない。金網を支える支柱や金網そのものが視界を妨げるからだ。また設営という観点から見れば、リングの方が安く設営時間も短いというメリットもある。
リングとケージを併用する団体としては、アジア最大の格闘技プロモーションという触れ込みのONE Championshipがある。国内の修斗、パンクラス、DEEPといった主要MMA団体も地方ではリングを使用するケースがいまだある。
RIZINの第3のブランド『TRIGGER』が台頭するにつれ、ケージの認知度はさらに上がっていくのではないか。「ケージか? それともリングか?」の問題は早急に片づく問題ではない。世界的にはケージが優勢であることに変わりはないが、MMAを取り巻く永遠のテーマのように思える。