箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
《衝撃の落選》「それが負けた要因です」1人当たりわずか数秒…常連校はなぜ“箱根駅伝への切符”を逃したのか?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/10/25 17:25
全41校が“わずか10”の箱根出場権を懸けて走った予選会。昨季の本戦出場校であってもその枠に入れなかった大学があった
選手層は他チームに比べると薄いが、出走した福谷颯太(3年)がトップグループでレースを展開するなど、「もしかして」を思わせた。15キロ地点での上位10名の通過タイムは12位、まだ巻き返すことは十分に可能だった。しかし、最後は、地力とチームの総力の差が出てしまった。
ただ、それでもやれることはやった。
個人の結果を見ても16位の福谷から69位の伊藤太貴(4年)まで、100位内に5名の選手が入り、この5名だけなら6位の法政大よりも上だった。残りの5名、とりわけ200番台の3名のタイムがもったいなかった。筑波大は走れる選手と力が足りない層の格差が大きく、これからその差をどのくらい縮めていけるかが、大きなテーマになる。
トップ通過にこだわらず、突破できればいい
今回の予選会で上位通過の監督の話を聞いて思ったのは、予選会に対する意識の変化だ。
トップ通過にこだわらず、突破できればいい。
明大の山本佑樹監督、中大の藤原正和監督ら今回の上位通過の監督は、その考えを明確にしていた。この後につづく全日本大学駅伝を見据えての発言でもあるが、自チームのタイムや調子を踏まえた上で他チームの戦力を分析、余力を持って勝てると判断してのこと。選手層が厚いチームだからこそできることだが、この流れは来年も力のある予選上位の大学に継続して見られるだろう。もしかすると全日本駅伝のためにハーフを走るぐらいの感覚で臨んでくるかもしれない。
一方、今回、落選したチームは、4年生が引退し、すでに新体制をスタートさせているところもある。弱点を洗い出し、強化ポイントを明確にして秋冬の記録会やロードレースに臨む。
今季の箱根駅伝でどこかシード権を失って予選会に回ってくるか分からないが、今回敗れたチームは力のあるチームと対峙し、勝たなければならない。1秒でも勝つための戦いは、もう始まっているのだ。