箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
《衝撃の落選》「それが負けた要因です」1人当たりわずか数秒…常連校はなぜ“箱根駅伝への切符”を逃したのか?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/10/25 17:25
全41校が“わずか10”の箱根出場権を懸けて走った予選会。昨季の本戦出場校であってもその枠に入れなかった大学があった
「夏過ぎまではまずまずだったんですが、10月に入ってから選手の状態が上がってこなかったのが大きかったです。また、足に不安がある山崎晃志郎(4年)、工藤、吉村を始め、1年生をエントリーした時点で、私が抱えた不安が選手に伝わってしまったのかなと思います」
しかし、今回エントリーされ、出走した小山晴空(1年)は9月の日体大記録会の10000mで29分09秒01、富永匠海(1年)も29分20秒06を出し、ともに自己ベストを更新している。1年生だが、佐々木(3年)よりも好タイムで走り、実力で予選会出走の切符を勝ち得た。
佐藤にしても9月の東海大記録会10000mで29分03秒72、江口清洋(3年)が29分18秒74と、自己ベストを更新。9月の記録会で選手たちは自己ベストを更新しまくり、チームは絶好調だった。だが、そこに落とし穴があったようだ。
「記録会では走れていたんですが、そこにピークが来てしまった感じになり、予選会に向けてのピーキング(調整)のミスがありました。10000mのタイムも上がっていますけど、だからハーフを走れるかというと、そんなに甘いもんじゃない。スピードは例年以上にありましたけど、本当の強さが身についていなかった。それが負けた要因です」
力は間違いなくあるが、ピーキングをミスると、これほどまでにガタガタと崩れてしまうものなのか。改めて陸上、駅伝がどれほど繊細なものであるかを認識させられた。
それにしても今回の落選は非常に痛い。
箱根を走った経験は、箱根を再度走った時により強みを発揮する。今季の箱根を見据えて、昨季は若い選手を中心にオーダーを組んだが、今回の落選によってそれを活かせなくなってしまった。しかも、今回は強力な4年生が多かっただけにシード権を獲得する可能性が高かった。その役割を果たせずに最後の箱根を走る機会を失った4年生の落胆ぶりは痛々しいものだった。ラジニを軸に来年の復活を待ちたい。
〈予選会13位〉筑波大学【箱根駅伝2021・出場なし】
前回の予選会では10位の専修大と、わずか18秒差に泣き、次点に終わった筑波大。今回も攻めの走りを見せたが、13位に沈み、またしても箱根に届かなった。