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《衝撃の落選》「それが負けた要因です」1人当たりわずか数秒…常連校はなぜ“箱根駅伝への切符”を逃したのか?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2021/10/25 17:25
全41校が“わずか10”の箱根出場権を懸けて走った予選会。昨季の本戦出場校であってもその枠に入れなかった大学があった
エースの砂岡は33位、山本は81位、山中秀真(2年)が102位、全日本の予選会チームトップの野村は108位に終わった。10人全員が200位内に入ったが、100位内はふたりだけ、190番台に4人が固まっているのが大きかった。ちなみに10位の国士館は、ヴィンセント(4年)が4位、三代和弥(4年)を含めて5名が100位内にいた。
この強風下ではスピードだけでもスタミナだけでも勝てない。高次元での融合が求められるが、どんなコンディションにあっても走ることができるタフさが城西大には、欠けていたのかもしれない。ただ、チームの主力は2年生だ。山本、野村、山中、新井、堀越大地(2年)らが来年、この落選を受けて、どうチームを変化させていくのか。2022年の予選会では、本戦で戦えるチーム作りをして、戻ってきてほしい。
〈予選会11位〉拓殖大学【箱根駅伝2021・総合15位】
今回、一番の衝撃は箱根常連校である拓殖大の11位での落選だろう。10位との差は55秒、1人当たりわずか5.5秒届かなかった。
拓大は、昨年の箱根予選会は9位(10時間33分46秒)で突破した。箱根本戦では、往路10位、復路16位、総合15位。箱根出走メンバーのうち4年生はひとりだけ、9名が箱根経験者として残った。その経験値を活かし、6月の全日本大学駅伝予選会では、ジョセフ・ラジニ(3年)が引っ張り、合田椋(4年)らが好走して全体4位で予選突破を果たした。ちなみにトップ通過は今年の出雲駅伝で初優勝を果たした東京国際大、2位は国学院大、3位は法政大。拓大は5位の中央大よりも順位が上で、強化は順調であることを結果で示した。
夏合宿も順調にこなした。箱根駅伝の予選会エントリーでは、昨季の箱根6区18位の佐々木虎太郎(3年)が漏れ、10区13位の工藤翼(3年)が出走メンバーから外れた。エースの合田を含めた7人の箱根経験者、そして2名のルーキーらが出走した。
ラジニが留学生の先頭集団でレースを展開し、合田と桐山剛(4年)は日本人の前方の大きな集団にいた。しかし、中盤にいた選手のぺースが上がらない。10キロ地点での上位10人の通過タイムは10位、15キロでは12位に落ちた。結局、そこから順位をひとつしか上げられずに拓大の箱根挑戦は終わった。
個人のタイムを見ると、4年生の中で明暗が分かれてしまったのが大きい。合田は37位、桐山は79位とまずまずだったが、新井遼平は145位、竹蓋草太は160位、佐藤広夢が236位と思うように順位を伸ばせなかった。主力の吉村陸(3年)も217位に終わっている。
絶好調のチームを襲った“落とし穴”
山下拓郎監督は、「これが今のうちの実力です」と肩を落とした。