箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
《衝撃の落選》「それが負けた要因です」1人当たりわずか数秒…常連校はなぜ“箱根駅伝への切符”を逃したのか?
posted2021/10/25 17:25
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
箱根駅伝予選会は、残酷なレースだ。
上位10校には「幸福の切符」を与え、それ以外のチームには冷徹な宣告を下す。だが、その厳しさ、残酷さがあるからこそ箱根駅伝本番は真剣勝負の場になり、いろんなドラマが生まれる。それが多くの人の心を惹きつけ、選手は出場の意欲を掻き立てられる。
それだけに予選会に賭ける思いはどこも強く、その反動で敗れた衝撃も大きい。
この日、箱根への出場権を得た10校の発表後、落選したチームには、やはり言いようのない重たい空気が流れていた。監督が発する言葉を選手は、うしろに手を組み、項垂れて、静かに聞いていた。
なぜ、敗れたのか。何を間違えたのか――。
今回もまさかというチームが、箱根行の切符を失った。
〈予選会13位〉城西大学【箱根駅伝2021・総合16位】
城西大は、2年前の予選会は15位で箱根を走れず、前回大会は3位(10時間29分37秒)という好成績で予選を通過。箱根駅伝では往路13位、復路15位、総合16位だった。今年のチームは、箱根経験者が6人残り、2年生を中心に力をつけてきた。6月の全日本大学駅伝の予選会(10000m)では野村颯斗(2年)がチームトップの29分30秒23を出したが、エースの砂岡拓磨(4年)や期待された山本唯翔(2年)はもうひとつの結果に終わり、チームは13位で出場権を逸した。
その後、砂岡は7月ホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会で13分37秒08の自己ベストを出すなど調子を上げ、関東インカレ前に故障した駅伝主将の宮下璃久(4年)も9月の東海大記録会を経て、箱根駅伝予選会にエントリーされた。箱根経験者では新井颯人(2年)が外れたが、2年連続17回目の本戦出場に向けて、ほぼベストの布陣が整っていた。
この日、多くの選手が悩まされたように強い北風に翻弄された。スタート側は追い風、逆コースは向かい風にさらされてペースが上がらず、城西大は5キロ地点での10人の通過順位が20位と出遅れた。その後、10キロでは19位、15キロでは15位まで上げ、砂岡、山本らが懸命に前の集団で走るも後ろの選手がつづかない。結局、15キロのままの順位で城西大の予選会は終わった。
今予選会で問われたのは“タフさ”
個人の順位をみる限り、全体的に物足りなかった。