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大日本・新エースの“覚悟” ドリュー・パーカーのデスマッチ愛「痛いけど頑張る、まだやれる…」野村卓矢は「ストロングBJが最強だ」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/10/24 11:00
大日本プロレス新世代のエース、ドリュー・パーカー(右、第2代GCWウルトラバイオレント王者)と野村卓矢(左、BJW認定ストロングヘビー級王者)
新世代エース野村卓矢が憧れた“ストロングBJ”の闘い
大日本プロレスを背負う新世代の代表格はもう1人いる。通常ルールの「ストロングヘビー級」タイトルを持つ野村卓矢だ。
1993年生まれ。2016年にデビューすると他団体での闘いぶりでも注目を浴びた。UWF系=格闘スタイルの『ハードヒット』でパンクラス2階級制覇のロッキー川村と引き分けたのもキャリア1年弱の頃だ。
今年9月、ストロングヘビー級王座初戴冠。10月18日の後楽園ホール大会では関本大介との大激闘を制し、初防衛に成功した。関本は“ストロングBJ”の象徴とも言える存在。チャンピオンとして避けて通れない相手であり、関本に勝ったことは“野村時代”の到来を感じさせた。
野村が大日本プロレスに入門したのは、関本を筆頭とするストロングBJの闘いが「一番激しくて、強さを感じた」からだという。世代的には小学生でPRIDE全盛期。同時期のK-1では魔裟斗が中量級を確立させている。野村少年も強さに憧れ「無闇に木を殴ったりしてました」。キックボクシングのジムに通った経験もある。ただ、なりたいと思ったのはプロレスラーだった。
「PRIDEで桜庭(和志)さんや田村(潔司)さんを見てUWFインターナショナル、リングスを知って、さらに遡って前田(日明)さん、そこから(アントニオ)猪木さんの映像を見て。珍しいタイプだと思います、自分の世代では」
格闘家の強さでもプロレスラーの華やかさでもなく、プロレスラーの強さに憧れたのだ。それがどうしてだったのかは、自分でもまだよく分かっていないのだが。
関本大介から受け継ぐ「グラウンドでの強さ」
入門した大日本での練習は「基礎体(力練習)、マット運動に受身をやって、あとはグラップリング。寝技のスパーリングですね」。関本からは基本を教わり、スパーリングもした。パンクラス道場への出稽古に連れて行ってもらったこともあるという。
「関本さん、好きなんですよそういうの」
そういうの、とはつまりプロレスの“レスリング”の部分でありグラウンドでの強さの追求だ。それは野村がプロレスに求めていたものでもあった。デスマッチという軸もあるからか、ストロングBJはエルボー、ラリアットなどシンプルでゴツゴツとした攻防が大きな魅力となっている。そして、そのさらに根っこには「そういうの」があるわけだ。
“ビル・ロビンソン最後の愛弟子”鈴木秀樹からも大きな影響を受けた。ストロングヘビー級王座に初挑戦した時のチャンピオンが鈴木。思い切り顔面を蹴り上げられての惨敗だった。タッグパートナーの阿部史典とは、総合格闘技のジムでスパーリングを重ねている。「最初はボッコボコにされましたね」。阿部と顔を合わせるとまず話すのは「最近、何かプロレス(の映像)見た?」だそうだ。
「あの時の猪木vs藤波(辰巳)がよかったとか、バトラーツならあの試合とか、ビッグマウスラウドよかったよねとか。今そんな話してるの俺らくらいでしょうけど(笑)」