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「IWGPヘビーをオレにください」G1王者オカダ・カズチカが“封印されたベルト”を求めた理由〈飯伏幸太、無念の右肩脱臼〉
posted2021/10/25 17:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
試合は25分37秒で唐突に打ち切られた。飯伏幸太はリング上に倒れたまま動かない。それをオカダ・カズチカはコーナーにもたれるように座り込んで見つめていた。レフェリーが試合終了のゴングを要請した。
10月21日、日本武道館で行われた新日本プロレスのG1クライマックス優勝決定戦。コーナーから回転式ボディプレスであるフェニックス・スプラッシュにいった飯伏だったが、これをオカダにかわされてしまった。飯伏は右腕を押さえて動かなくなった。脱臼か? 肩が外れてしまったようだった(※注:試合翌日、新日本プロレスから「右肩の脱臼」と発表された)。
オカダは7年ぶり、3度目のG1クライマックス優勝を果たした。飯伏の3連覇はならなかった。
封印された「IWGPヘビー級」のベルトを要求
「飯伏幸太、不完全燃焼なんです。またやろうぜ、この野郎」(オカダ)
オカダはその後、意外なことを口にした。
「G1チャンピオンとして、新日本プロレスに、ひとつお願いさせてください。飯伏幸太と、またやらせてください。その飯伏幸太を待つ証として、4代目IWGPヘビー(ベルト)をオレにください。別にチャンピオンじゃないですよ。『IWGPヘビー』を、飯伏幸太を待つ証として、オレに預けてください。そして、新日本プロレスを、その中心として、オレが盛り上げていきたいと思います」
オカダは4代目のデザインのIWGPヘビー級のベルトが欲しい、と言い出したのだ。現在のIWGP世界ヘビー級のベルト(※注)ではなく、封印したはずの、「世界」の名前が入る以前の、オカダにとっては最も愛着のあるベルトを要求したのだった。
(注:今年3月、新日本プロレスはIWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座を統一し、新たにIWGP世界ヘビー級王座を創立。飯伏が初代王者に認定された)
「ベルトをひとつにしたのは飯伏さんですから。それでね、別にIWGPヘビー級チャンピオンだ、と名乗るつもりもないですし、ボクがそれを持って、飯伏さんを待つという意味で、いいことじゃないかと思いますし、G1クライマックスのチャンピオンですから。いつもだったら権利証と言っていましたけれども、別にそれは持っていてもいいんじゃないかなと思います」