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阪神1位・森木、日本ハム2位・有薗にも…次代に広がる“大谷翔平効果”〈されど今、大谷が球児なら「二刀流」を目指さない!?〉
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/13 11:02
もし、「高校球児・大谷翔平」が「メジャーリーガー・大谷翔平」を見たら、“二刀流”を目指すのか?
大谷翔平「『革命』や『維新』というものに惹かれるんです」
あくまで推測でしかないが、おそらく高校球児・大谷翔平は二刀流を目指さないのではないだろうか。なぜなら、すでに「前例」があるからである。
高校時代から大谷の行動原理は「誰もやったことのないことをやりたい」という、パイオニア精神にあった。
高校生にして160キロのスピードを目指したのも、高校生で誰も到達していない境地だったから。高校時代の大谷に好きな科目について尋ねると、大谷は「日本史」と答え、こう続けた。
「とくに幕末が好きです。日本が近代的に変わっていくための新しい取り組みが多くて、歴史的に見ても大きく変わる時代。『革命』や『維新』というものに惹かれるんです」
そもそも「二刀流」という発想は、大谷発信ではない。2012年のドラフト時、大谷はMLB球団に進む希望を持っていた。高卒で直接MLBに渡り、成功した選手がいなかったからだ。そんな大谷を強行指名した日本ハムが、大谷にNPBでプレーするためのモチベーションとして提示したのが二刀流だった。
今の野球界に「高校球児・大谷翔平」が出現したら…
結果的に大谷を日本につなぎとめ、世界的なアスリートを生んだのは、二刀流というアイデアだった。考案した日本ハム関係者は野球殿堂入りすべきだろう。
今の野球界に「高校球児・大谷翔平」が出現したら、今度こそ「高卒で直接MLBに渡って成功したい」と考えるのかもしれない。
大谷がアマチュア球界にもたらした最大の功績は、二刀流の概念を広めたことではない。常識を打ち破る偉大さを周知させたことだ。今後も大谷から影響を受けた者が、スポーツ界の新たな常識を打ち破る日がきっとくるだろう。