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中日3位・石森大誠が喜ぶウラで「指名漏れ4人」は座り続け… ドラフト会見の残酷な明暗と《独立L→プロへの絶対条件》とは
posted2021/10/13 11:01
中日の帽子をさっそくかぶった石森大誠と馬原孝浩監督
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
「自分的にはもうちょっと（指名）順位は上かなと思っていたのですが」
歴史的な「独立リーグからドラフト1位」はならなかった。中日ドラゴンズからドラフト3位で指名された火の国サラマンダーズの左腕・石森大誠は、記者会見の開口一番こういった。言ってくれるじゃないか、とも思ったが、これくらい“はったり”が利くほうがいいのだろう。
石森は、中日というチームについて聞かれると、このように語った。
「大野雄大投手という左のエースがおられますし、同級生にも小笠原慎之介という左投手がいる。自分の持ち味はまっすぐの切れで、今年もそのまっすぐでいっぱい三振を取ったので、自分のアピールポイントにしたいし、即戦力として活躍したい」
前にも書いたが、石森は石川県の遊学館高校時代、甲子園で東海大相模の小笠原と対戦し、安打を打たれている。だからこそ小笠原の名前を出した部分もあるのだろう。
色紙には「新人王」と書いていた。どこまでも前向きで、やる気満々なのだ。その強心臓で――救援投手として来季開幕から活躍したいところだ。
ポテンシャルを引き上げた馬原コーチの指導法
彼の自信の源泉は「今年、急速に伸びた」という手ごたえだろう。社会人時代は152km/hだったのが、独立リーグに来て155km/hが出るようになった。しかもその球速をソフトバンク三軍との交流戦で出している。石森はこのときから俄然、注目されるようになった。
そんな石森のポテンシャルを急速に上げたのは、馬原孝浩投手コーチである。このほど細川亨監督に代わって監督兼GM補佐に就任したが、この馬原コーチが石森をはじめとする火の国の投手陣を鍛え上げたのだ。火の国のドラフト会見場には石森を含めて計5人の選手がドラフト指名を待っていたが、全員投手だった。
会見場で馬原新監督と言葉を交わした。
「投手でも、打者でも、伸ばすべき方向性を見極めて、それぞれの能力を最大限にするようなトレーニングをしました。独立リーグの選手は時間がありませんから、無駄なことは一切できない。能力を伸ばすためだけを考えてトレーニングをしたのです」
馬原監督は現役を引退後、九州医療スポーツ専門学校で柔道整復師と鍼灸師の国家資格を取得。アスリートの体について徹底的に学んだが、それを独立リーグの場で実践したのだ。
