ドラフト指名の森木&有薗も語っていた「二刀流」の夢

　プロでの二刀流への挑戦希望を口にしたのは、実は田村だけではない。高校通算70本塁打を放った有薗直輝（千葉学芸／日本ハム2位指名）もその一人だった。

　有薗は遠投120メートルの強肩の持ち主でもあり、投手として最速148キロをマークする速球派だ。視察に訪れたプロスカウトの前で投球を披露したこともある。

　今春の千葉大会では、有薗はこんな思いを語っていた。

「春の大会前にピッチングのコツをつかみました。グラブ側の腕の使い方を変えてみたところ、上半身と下半身が連動するようになって、いい球がいくようになったんです。できれば大谷翔平選手のように、プロでも投打両方やってみたいです」

　ただし、今夏の千葉大会では登板機会のないまま4回戦で敗退。スカウトの評価も打者として固まっていたため、二刀流への機運はトーンダウンしている。

　今年のドラフト会議で阪神から1位指名を受けた森木大智（高知）も、かつては二刀流でのプロ入り希望を語ったことがある。現在は最速154キロをマークする本格派右腕に成長した森木だが、打撃力の高さもプロを狙えるレベルにあるからだ。

来年ドラフトの矢澤宏太「ピッチャーでも野手でも勝負している」

　大学野球では、今年のドラフト対象ではないものの矢澤宏太（日本体育大3年）という二刀流の大看板がいる。

　毎年好投手を輩出する日本体育大で今季から主戦格になり、最速150キロの快速球とスライダーを武器に奪三振を量産。外野手としても走攻守のポテンシャルは一級品で、とくに打球の強さは図抜けている。9月11日の首都大学リーグ開幕戦・帝京大戦では、「4番・投手」として出場。投げては2安打完封。打っては1安打をマークした。

日体大の“二刀流”矢澤宏太。来年ドラフトで上位指名が予想される ©JIJI PRESS

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　メディアから二刀流について聞かれるたび、矢澤はこのように答えている。

「保険をかけるつもりならやらないほうがいいと思いますが、ピッチャーでも野手でも勝負しているつもりです」

　日頃の練習比率は「投手9:野手1」と、投手中心の生活になる。古城隆利監督は「体作りを優先して進められます」とメリットを語っていた。

　来年は矢澤がドラフト上位指名候補に挙がるのは確実と見られる。投手なのか、打者なのか、それとも二刀流なのか。スカウト陣からどのような評価を受けるかは大きな焦点になる。

　アマチュア球界で二刀流を志す選手の事例を挙げてみたが、当然ながら現時点で大谷ほど投打ともずば抜けたスケールの二刀流は現れていない。

　そこで、一つ疑問が浮かんでくる。もし、「高校球児・大谷翔平」が「メジャーリーガー・大谷翔平」を見たら、どう思うだろうか。

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