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「水泳の聖地」辰巳国際水泳場がアイスリンクに! 年間赤字1億円超え見込みでも25年開業を目指すわけ<フィギュアに朗報> 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2021/09/26 17:02

「水泳の聖地」辰巳国際水泳場がアイスリンクに! 年間赤字1億円超え見込みでも25年開業を目指すわけ<フィギュアに朗報><Number Web> photograph by KYODO

東京五輪では水球会場として使用された辰巳国際水泳場。最大5,000席の観客席を有している

 2025年度開業が計画されている一方で、中間計画では課題も提示されている。最も大きいのは、年間運営費が約1億6500万円の赤字を見込んでいる点だ。

 東京都は10月20日まで運営計画への意見を募集するとしているが、運営費をどう改善、解決していくか、どう理解を得ていくのか、課題は山積みと言えるだろう。

問われるのは氷上スポーツのあり方

 それでも、アイスリンクが新たにできることの意味は十分ある。

 国内外の大会で活躍するスケーターであっても、キャリアを見ていくと、リンクの閉鎖などの影響で練習場所を求めて転々とした経験を持つことは少なくない。

 例えば樋口新葉は明治神宮外苑をホームリンクとしていたが、利用者数の多さから貸し切りは早朝や夜間になり、それだけでは足りずに複数のリンクを掛け持ちしていた時期があった。また、少し前の話になるが、濱田美栄コーチが指導する選手たちは、05年に京都のリンクが閉鎖となったあと、大阪、兵庫など方々へと足を運ばざるを得なかったことがある。

 リンクは不足し、氷上スポーツを楽しみたい人がプレーできる環境が限られる。そんな状況を改善する契機となるか。辰巳アイスアリーナの成否には、スポーツ施設がレガシーとして有効活用されるかという点だけでなく、東京五輪後の氷上スポーツのあり方も問われている。

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