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「水泳の聖地」辰巳国際水泳場がアイスリンクに! 年間赤字1億円超え見込みでも25年開業を目指すわけ<フィギュアに朗報>
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2021/09/26 17:02
東京五輪では水球会場として使用された辰巳国際水泳場。最大5,000席の観客席を有している
東京も例外ではない。都内には通年リンクが明治神宮外苑アイススケート場、シチズンプラザ、東大和スケートセンター、ダイドードリンコアイスアリーナと4つあったが、今年1月、高田馬場にあるシチズンプラザが閉鎖された。3つの路線が利用できる高田馬場駅から徒歩7分という好立地で、存続を求めて活動していた「高田馬場スケートリンク存続を願う会」の資料によれば、クラブ員と近隣の大学スケート部員約350名など多くの人が利用していたことがうかがえる。
また、東大和スケートセンターは施設の不具合により5月31日から休業し、再開のめどはたっていない。ここにもまた、拠点を置く指導者や選手たちがいた。
さらにこの夏は、オリンピック・パラリンピック開催に伴い、明治神宮外苑アイススケート場も休業。再開は9月21日まで待たなければならなかった。
スケートリンク自体が少ない上に、それぞれのリンクも利用者が多く、余裕がない。首都圏では昨年12月、千葉県に「三井不動産アイスパーク船橋」がオープンしたが、隣県とはいえ、都内からでは住んでいる場所によっては不便を伴う。
アイスリンクに競技が集中する現状
そうした状況の中、開業までまだ時間がかかるとはいえ、新たに通年リンクができることは氷上スポーツにとってよいニュースだと言えるだろう。
フィギュアスケートについて触れてきたが、例えばシチズンでは21のアイスホッケーチームやスピードスケートでも利用されていたように、アイスリンクは氷上スポーツ全体の練習場所ともなっている。
例えばカーリングは現在、東京都の協会に1つのクラブが所属し活動している。都内では、明治神宮外苑、東大和で体験教室を開催したり、ゲームを行なったりしているが、フィギュアスケートと同様、この夏は大きな影響を受けた。辰巳アイスアリーナは選手の活躍により増えるであろうカーリングの利用も織り込んでいる。都内にもう1カ所増える意味は、カーリングの普及発展のために決して小さくない。