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選手村のある埋立地「晴海」、(タワマン以外に)何がある? 鉄道駅がないのにナゾの“廃線”を見つけた話《東京五輪》

posted2021/07/22 17:02

 
選手村のある埋立地「晴海」、(タワマン以外に)何がある? 鉄道駅がないのにナゾの“廃線”を見つけた話《東京五輪》<Number Web> photograph by Masashi Soiri

東京・晴海の選手村。晴海には選手村・タワマン以外に何があるのか?

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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Masashi Soiri

 汐風に誘われて、海の近くにやってきた。湘南でも九十九里でもなくて、東京湾に浮かぶ晴海という埋め立てで生まれた島である。

 晴海はいま、やたらと話題になっている。ニュースの震源地のひとつといってもいい。そう、オリンピックの選手村があるのだ。やたらと晴海がニュースに登場するから、その名を聞かない日はないくらいだ。

 とはいえ、である。湾岸部に住んでいる方々をのぞけば、晴海という街(というか島)についてはあまりよく知られていないのではないか。選手村があって、オリンピックのあとには晴海フラッグというマンションになって売り出されるということは有名だ。が、晴海には選手村のほかに何があるのか。そもそも晴海はどこにあるのか。それがわからないうちに、晴海の選手村のことを言われてもいまひとつピンとこないのだ。そんなわけで、晴海には、選手村の周りには何があるのかを知るべく、やってきたのである。

晴海には「鉄道駅がない」

 繰り返しになるが、晴海は東京湾に浮かぶ人工島だ。全域が東京都中央区。すぐ北側には月島・勝どきがあって、南側には豊洲がある。豊洲の先には有明、辰巳、お台場と続く。隅田川が東京湾に注ぐ河口付近にいくつもある埋立地のひとつが、晴海なのだ。

 そこまではわかっていても「じゃあ晴海にどうやって行けばいいの」という問題がある。なにしろ、晴海には鉄道駅がない。月島や勝どき、豊洲にはその名のままの駅があるし、お台場にはゆりかもめが“飛んで”いる。ところが晴海だけは鉄道駅がない。鉄道空白の埋立地なのだ。

 一番近いのは都営大江戸線の勝どき駅。勝どき駅から少し南西に歩いて環二通りを左に曲がり、朝潮運河を渡れば晴海だ。訪れたのはオリンピック開幕直前。だからこのあたりはやたらと交通規制が敷かれており、クルマだけでなく徒歩での移動にも難儀する。

 朝潮運河を渡ると、警察官の姿が急に増えて、機動隊の車両も停まっている。警察官の背中には「大阪府警」とある。選手村の斜向かいには警視庁月島警察署があるが、大阪からはるばるやってきたおまわりさんが頑張っているのだ。

では選手村以外に何がある?

 まるで終戦の日の永田町や靖国神社あたりのように、いやそれ以上かと思うほどにガッチリとバリケードで封じられた向こうに選手村が見える。いくつかの国の国旗が選手村のビルに掲げられていて、その国の選手たちがそこにいるんだと教えてくれる。

【次ページ】 では選手村以外に何がある?

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