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フェデラー「日本には国枝がいるじゃないか」 国枝慎吾37歳の「最強」にカッコイイ伝説〈2大会ぶり金メダルに石黒賢も号泣〉 

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posted2021/09/05 11:02

フェデラー「日本には国枝がいるじゃないか」 国枝慎吾37歳の「最強」にカッコイイ伝説〈2大会ぶり金メダルに石黒賢も号泣〉<Number Web> photograph by Getty Images

東京パラリンピックを制した国枝慎吾。フェデラーもその実力を認めているのは有名な話だ

 取り上げたコメントは復帰3戦目となった全仏で準優勝に終わった時のもの。しかし当時取材した記者によると、冷徹に自分を見つめているように感じたそうだ。勝負勘を取り戻し、精度を上げれば……その手応えは、ロンドンパラリンピックで自身3つ目の金メダルを獲得する布石となった。

勝つだけでなく、魅せながら勝つテニスを

<名言3>
車いすテニスって面白いと感じてもらいたい。だから、勝つだけでなく、魅せながら勝つテニスをしていきたい。
(国枝慎吾/Number728号 2009年4月30日発売)
https://number.bunshun.jp/articles/-/10691

◇解説◇
 国枝は2008年末、ある1つの大きな決断を下していた。職員として勤務していた大学を退職。マネジメント会社のIMGと契約し、テニス1本で生きる道、つまりプロ転向を表明したのだ。

 当時の賞金は健常者の男女シングルスと比べると決して大きな額でなく、国枝も「賞金で生活していくには、全部の大会で優勝するくらいでないと」、「テニス1本で生活するのは厳しい道と覚悟している」と話していたという。それでも彼は、大学職員という安定を捨て、実力勝負の世界に飛び込んだのだ。

 その理由はシンプルだった。

「私がプロとしてやり遂げられたら、障害者スポーツに携わる多くの方々に夢を与えられる。障害を持っている子供たちに『車いすテニスプレーヤーになりたい』と夢を持ってもらえる」

 東京パラリンピックの大会期間中も、国枝はメディアを通して「車いすテニス」の楽しさを口にし続け、勝ち続けてきた。

 その真骨頂は4日の決勝戦だった。

 エフベリンク(オランダ)戦、9歳年下のビッグサーバー相手に対しても鮮やかなチェアワーク、正確無比なストローク、そして魂のプレーぶりで6-1、6-2とストレート勝ちした。銅メダルに終わったリオの雪辱、そして自身4つ目(シングルスで3、ダブルスで1)となる金メダル獲得を果たした。

【次ページ】 石黒賢も号泣するほどの“生ける伝説”

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