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五輪惨敗から1カ月…桐生祥秀「走り方からぜんぶ変えました」 日本スプリント勢が世界と戦えなかった“2つの理由”
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byJIJI PRESS
posted2021/09/04 11:03
東京五輪で惨敗した日本のスプリント勢。再スタートした選手たちの証言から「何が必要なのか」を考える
今季は6月の布勢スプリントで山縣が日本記録の9秒95、多田が日本歴代6位の10秒01をマーク。東京五輪の参加標準記録(10秒05)を突破した。しかし、布勢スプリントが行われるヤマタスポーツパーク陸上競技場(鳥取・布勢総合運動公園陸上競技場)は好記録が出やすいことで知られている。
サーフェスは高反発で評判のモンド社の「スーパーX」が敷かれており、午後は安定した追い風となる。さらにスタート位置後方の「防風フェンス」で、風の強弱も調整できるのだ。山縣と多田の記録は+2.0mで公認ギリギリの追い風だった。
一方で日本選手権は、優勝した多田が10秒15(+0.2)、3位の山縣が10秒27とタイムは伸び悩んだ。いま振り返ると、その実力で世界と戦うのは難しかったのだろう。
世界のスピードに遅れないために
「世界レベルの選手を見ていたら、参加標準記録を切るとか切らないとかを見てやっていたら話にならない。(トップ選手は)失敗レースや無風でも標準くらいのタイムは出すんですよ。自分のなかの当たり前のベースを上げることをやりたい」(小池)
9秒台の“価値”は時代とともに変化している。絶好の条件で出された9秒台に大騒ぎしたメディアも良くなかった。選手もメディアも意識を変えて、新たなグローバルスタンダードを身に付けないといけない。世界のスピードに遅れないために。
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