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五輪惨敗から1カ月…桐生祥秀「走り方からぜんぶ変えました」 日本スプリント勢が世界と戦えなかった“2つの理由”
posted2021/09/04 11:03
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
JIJI PRESS
男子100mは89年ぶりのファイナル進出、同4×100mリレーは悲願の金メダル。そんな期待が膨らんでいた東京五輪だが、日本のスプリント勢は“惨敗”した。
男子100m予選は日本選手権王者の多田修平が1組で10秒22(+0.2)の6着、今季9秒95の日本記録を樹立した山縣亮太は3組で10秒15(+0.1)の4着、9秒98の自己ベストを持つ小池祐貴は4組で10秒22(±0)の4着。五輪では17年ぶりに3人全員が予選で敗退した。
そして男子4×100mリレーも苦しんだ。多田、山縣、桐生祥秀、小池のオーダーで臨んだ予選は全体9番目の38秒16(1組3着)で通過。決勝は「攻めのバトン」を選択した結果、2走・山縣にバトンが届かない。決勝レースを走ることができなかった桐生は、「日本の国旗をこの舞台で掲げたかったんですけど、こういう結果になったのは誰も悪くない」と涙を浮かべていた。
日本スプリント勢が“再スタート”
真夏の悪夢から22日後、桐生と小池の姿は福井にあった。ふたりは8月28日のAthlete Night Games in FUKUIを“再スタート”の場所に選んだのだ。桐生は自ら立ち上げた「Sprint 50 Challenge」の50mと、男子100m予選・決勝の3本に出場。100mは10秒18(±0)で完勝した。
「26歳にして、1日3本を走ったんですけど、まあまあきついなと。この条件を踏まえると、ぼちぼちの結果が残せたかなと思います」
レースを終えた桐生の声はいつになく明るかった。故障を抱えながら戦ってきた今季には見られなかったものだ。
小池は200mに出場して、予選は20秒88(-0.7)。決勝は20秒62(-0.7)をマークして後続に0.25秒以上の差をつけた。
「予選はゆっくりめに入って、小見出し後半上げていったんですけど、イマイチだったんです。決勝は200mを走り切れる限界ギリギリくらい。最後バラバラにならないくらいに突っ込んでいきました。こっちの方が合っているのかな」
条件に恵まれず、タイムは伸びなかったが、走りの内容については好感触をつかんだ様子だった。今大会は有観客だったこともあり、「本当はもうちょっといい記録で優勝したかったんですけど、(観客が)ちょっと沸いてくれたので、良かったと思いました」と笑顔を見せた。
100mを「46歩」で走り抜ける
ふたりとも東京五輪から“走り”を変えた。それは次なる戦いを見つめての決断だ。