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<発掘>キョロキョロするルーキー長嶋茂雄、バットを拾う川上哲治…63年前のTVドラマ(遊星王子)に「巨人vs阪神」のお宝映像が使われていた! 

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高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

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photograph byKYODO

posted2021/09/03 06:00

<発掘>キョロキョロするルーキー長嶋茂雄、バットを拾う川上哲治…63年前のTVドラマ(遊星王子)に「巨人vs阪神」のお宝映像が使われていた!<Number Web> photograph by KYODO

写真は昭和33(1958)年、プロ1年目の長嶋茂雄の打撃フォーム。当時の巨人vs阪神の貴重映像がTVドラマに収録されていたとは驚きである

 この放送の7年前(昭和26年)に完成した川崎球場は当時、大洋ホエールズのフランチャイズ。劇中に映る風景では、昭和末期にお昼寝や流しそうめんで話題となった外野スタンドはまだ設置されておらず、観客席のないフェンスには東芝から発売されていた「マツダの真空管」「マツダのランプ」の文字が大きく記されている。川崎球場に外野スタンドが設置されたのは2年後の昭和35年、大洋が悲願の初優勝、初の日本一に輝いた年のことだ。

 1999年に閉場後は多目的球技場としてリニューアルされ、21世紀に入ってからは主にアメフトの試合などで使用。2014年に名称が「川崎富士見球技場」と改められている(15年からは「富士通スタジアム川崎」)。

 最近、老朽化や耐震性の問題から撤去か保存か? で話題となっている、川崎球場名物の高さ39mの照明塔(往時は6基で3基が現存)は、高橋ユニオンズがフランチャイズだった昭和29年設置のため、設置後4年が過ぎた劇中では、新品同様の姿が何度となく映し出される。当時、後楽園球場をも上回る「日本一の明るさ」を誇ったとのことで、遊星王子の活躍で大団円となったラストシーンでも、この照明塔が大映しになるあたり、スポンサー(東芝)がこの照明塔設置にも大きく関わっていたことが想像できる。

「巨人vs阪神」の本物映像を流用

 一方、後楽園での「セネタースvsブラックソックス」の試合シーンは、放送が日本テレビだけあって、贅沢なことに昭和33年の「巨人vs阪神」本物映像がふんだんに流用。当時のプロ野球中継は生放送が基本で、映画やニュース素材用に記録される以外は、まずビデオテープやフィルムに残されることはないので、これが大変貴重な映像記録となっている。

 昭和33年シーズンは、主砲・川上哲治の現役ラストイヤー。ルーキーの長嶋茂雄はいるが、のちに「世界のホームラン王」となる王貞治はまだいない。劇中でセネタースやブラックソックスの一員として映し出されている選手たちを、背番号をもとに割り出していくと、冒頭にヒットを打つのが与那嶺要(背番号7=ウォーリー与那嶺)、後半にヒットを打つのが藤尾茂(背番号9)、藤尾のヒット後、打席に立つのが加倉井実(背番号22)、冒頭でランナーとして一塁に立つのが坂崎一彦(背番号19)、岩本堯(背番号5)のホームインを受けて、転がったバットを拾うのが川上哲治(背番号16)、コーチャーズボックスに立つ岩下守道(背番号15)、そして遊星王子に助けられ、球場に戻って逆点ホームランを放つ宮下選手の「代打」を球審に告げるのが水原円裕(茂)監督(背番号30)だ。

 この時、逆転ホームランを打つ宮下選手として映し出されているのが岩本堯(背番号5)だ。宮下の逆転ホームランを見送るブラックソックス外野手として阪神タイガースの大津淳(背番号19)の姿も確認できる。

【次ページ】 ルーキー時代のミスターの姿は?

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