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日本人のフィジカルが韓国人よりも劣っているのはなぜ? 元Kリーグのトレーナーが驚いた育成年代の「食」
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byTomoo Tsukoshi
posted2021/08/25 17:00
2020年、蔚山現代FCでACL制覇に貢献した津越智雄トレーナー。ガンバ大阪などで活躍した元監督代表FWイ・グノを笑顔で写真におさまった
「韓国人と日本人では“体格”が違うんです。韓国にはFWやCBには190cmクラスの選手が多くいますし、体のサイズについては『ワールドクラス』といっても差し支えない。成人男性でみても韓国の方が日本より少し身長が高いですが、サッカーにおいてはその差が顕著に現れます。
ジャンプ力に関しても、面白い指標があります。Jリーグの選手と、Kリーグの選手の 垂直跳びの記録を比較した際、韓国人選手の方が平均して 約3cm高いというデータがありました。これは先天的なものではなく、幼少期からよくやる縄跳びトレーニング、成長期以降の筋力トレーニング、高タンパク質の食事により生じた差というのが私の考えです。この点を解き明かす上で、韓国の育成における食事へのアプローチが特に印象的でした」
韓国が徹底する「タンパク質の摂取」
韓国へと渡った津越がまず驚いたのは、Kリーグの育成年代の食事内容だった。
その方針は至ってシンプルで、「とにかく肉を食え」というもの。これまで指導してきたJリーグでは、“バランス良い食事”が求められることが一般的だったが、蔚山現代では毎日の食事の中で、とにかくタンパク質を多く取れ、という指針が明確だった。
「韓国と日本の育成では抜本的な考え方が異なります。これは教育にも通じる部分がありますが、韓国は一部を対象としたエリート教育で、サッカーでもその層に投資する。そして、成功例をパターン化するんです。だから日本のように大学や社会人、高校サッカーが盛んということはありません。
育成年代やトップチームではクラブハウスのメニューは焼肉や肉料理がどっさり出てきて、炭水化物はあくまで〆程度。日本のJクラブでは予算的な問題もあってか、現状ではそこまでの徹底は出来ない。食に対する投資額が、トップレベルの数値的なフィジカルの差へと繋がっていると感じましたね」