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「試合時間が長い野球は厳しい…」“スポーツを見ない”若者が、東京五輪で見た競技は? 球技ではバスケが支持される理由
posted2021/08/27 17:03
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph by
Getty Images
若年層の視聴率は伸びたとは言え、五輪は根本的に彼らの視聴傾向を変化させたとは言えない。それではどのような競技や視聴スタイルであれば、若者の食指は動き、関心は持続するのだろうか。
ニールセンデジタル株式会社のアナリスト、コヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は若年層の好む観戦スタイルを次のように話す。
「今回の五輪直前に弊社が実施した調査では、15~34歳までの若年層が、『より自宅観戦を楽しむための手段』として最も多く挙げたのは『SNSで不特定多数の人とコミュニケーションを取りながら観戦する』でした。次点は『友達や知人とグループ通話などを使って観戦する』ですので、オンライン上のツールでコミュニケーションをしながら観戦したいという傾向が若年層は強いです」
前編でもSNSの盛り上がりに乗じて五輪を視聴した若者が増加したと述べたが、観戦ツールとしてもスマホは不可欠ということらしい。メディアアナリストの鈴木祐司氏も、若者世代は「スマホとのダブルスクリーンでテレビを見ている」と話す。
「現代の若者はテレビの前にいても、片手にはスマホ。もちろんメインはスマホで、SNSやYouTubeの合間に、テレビ中継のアナウンサーの興奮した声などに反応し、盛り上がった数秒だけテレビ画面に目をやる程度。コンテンツのテンポが悪く、見どころが分からなければすぐに注視は逸れてしまうでしょう」
「若者からしたら、野球は厳しい部類」
この条件を当てはめれば、若者の視聴スタイルにフィットしているスポーツはおのずと見えてくる。テンポよく進行し、予備知識なしでもSNSなどで感想を言い合えるような、誰でもわかるファインプレーや大技が頻出する競技だと言えよう。