オリンピックPRESSBACK NUMBER
若者たちに不人気な「スポーツ観戦」…東京五輪で若年層の視聴率は伸びた? プロ野球中継のメイン視聴者は“75歳以上”説も…
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph byGetty Images
posted2021/08/27 17:02
東京五輪で正式種目に追加されたBMXフリースタイル。写真は5位に入賞した中村輪夢(19歳)
「かつてのプロ野球は年間平均視聴率が20%を超えるとんでもないコンテンツでしたが、1990年代から急失速して2000年代には視聴率は一ケタに。原因のひとつにはJリーグの発足があり、サッカーと比べて段違いに遅いテンポで進む野球の試合を、若者世代は見ていられなくなったのでしょう。今となっては、プロ野球中継のメイン視聴者層は75歳以上とも言われており、番組スポンサーとしては例えば大人のオムツメーカーや葬式会社などが検討されますが、他はちょっと……ということもあるようです」
もちろん、ことは野球だけではない。日本の若者たちは、その時間をスポーツ中継全般に割り当ててくれないのだ。若者研究の第一人者で、マーケティングアナリストの原田曜平氏は日本の若者のメディア消費の変化をこう話す。
「NHK放送文化研究所が今年5月に発表した国民生活時間調査によれば、平日(1日あたり)に15分以上テレビを視聴した人は10~15歳で56%、16~19歳で47%、20代で51%となっています。若者の約半数が15分以上テレビを見ていない結果となり、これは50代以降の数字と比べ30%も低い。15分もテレビを見ない若者が、わざわざ1時間以上のスポーツ中継を見るわけがない」
「DAZNの加入率、34歳以下は4%です」
こうした日本における「若い消費者の行動変化」の原因は、もちろんスマホの接触時間の増加にある。博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2021」によると、10~20代の1日のスマホ接触時間は約200分と、スマホへのシフトが明らかだ。
放送メディア関係者たちは、スマホを中心とし、ネットを介して動画を配信するOTT(Over The Top)サービスの脅威に当初はおびえ、そして自らもおそるおそる参入しているところだ。だが、各社のサービスが乱立する中で、実は、スポーツ専門サービス大手であるDAZNは、存在感を示しきれていない。メディア視聴行動の分析を行うニールセンデジタル株式会社(本社:東京都港区)のアナリスト、コヴァリョヴァ・ソフィヤ氏に、各社のサービスの加入率を聞いた。