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「チアが登場」「女子吹奏楽部員も」“共学”になった横浜高校が迎える初の甲子園…“これぞ男子校”の伝統応援はどう変わった?《最新レポート》

posted2021/08/21 11:01

 
「チアが登場」「女子吹奏楽部員も」“共学”になった横浜高校が迎える初の甲子園…“これぞ男子校”の伝統応援はどう変わった?《最新レポート》<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

共学化に伴い、横浜高校が新体制で初めて迎える甲子園。伝統を残しつつ、チアリーディングが加わり華やかになった応援も見どころだ。

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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 2020年に共学となり、初めての甲子園出場となった横浜高校(神奈川)。1回戦では広島新庄(広島)と対戦し、0対2と2点を追う9回裏、連続ヒットでノーアウト1、3塁というチャンスが到来。2アウトとなったあと、1年生の緒方漣選手がスリーランホームランを打ち、サヨナラ勝ちという劇的な試合展開となった。

 横浜高校といえば、これまでは大勢の男子生徒がずらりとスタンドを埋め、力強く、勢いのある大太鼓が鳴り響くなか、「Y・O・K・O・K・O・横高!」という野太い掛け声による応援が名物だった。伝統の応援歌が流れ、学ラン姿の応援団が観客を煽る。「これぞ男子校」と思わせる迫力あふれる応援は、多くのファンを持ち、1998年夏の甲子園準々決勝で松坂大輔を擁する同校と、延長17回の死闘を繰り広げたPL学園高校の吹奏楽部OBも、「盛り上がりが最高潮に達すると、脅威にすら感じた」と、以前話していた。

 凄まじいまでの一体感による白熱の応援は、渡辺元智監督が春のセンバツに初出場・初優勝した1973年に出来た応援スタイルだ。この伝統応援が、共学化によってどう変わるのか。高校野球の応援を取材し続けている筆者は、2020年に女子生徒が入学する前からずっと気になっていたが、昨年は新型コロナウイルスの影響で、夏の甲子園が中止に。2年ぶりの開催となった今年、ようやく新体制の応援が披露されることとなった。応援指導部顧問の角俊雄氏は、率直な気持ちをこのように話す。

「応援指導部にも、女子生徒が2名入部しました。吹奏楽部も女子がたくさん入ったので、応援曲も何か新しい曲が入るのかなとちょっと心配だったんですけど、何も変わらなくて正直ホッとしました」(角氏)

新設されたチアリーディング部は56人の大所帯に

 共学化に伴い、チアリーディング部も新設。顧問の小林礼奈氏は、高校と大学時代にチアリーディング部に所属し、共学化の昨年就任。子どもの頃、親に連れられて来た甲子園で、高校野球の観戦経験があり、「応援の一体感に圧倒された」という。

「子ども心にも、アルプススタンドの応援風景が鮮烈に印象に残っていて、埼玉の高校時代は、甲子園で自分の学校を応援することが夢でした。残念ながら叶いませんでしたが、このような形で実現することができ、ほんとうに夢のようです」

【次ページ】 吹奏楽部新顧問「伝統の応援をいじる訳にはいきません」

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