甲子園の風BACK NUMBER
「チアが登場」「女子吹奏楽部員も」“共学”になった横浜高校が迎える初の甲子園…“これぞ男子校”の伝統応援はどう変わった?《最新レポート》
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph bySports Graphic Number
posted2021/08/21 11:01
共学化に伴い、横浜高校が新体制で初めて迎える甲子園。伝統を残しつつ、チアリーディングが加わり華やかになった応援も見どころだ。
保健体育の教員として就任が決まった頃は、まだチアリーディング部の創設は未定だったが、「出来るといいな」と願っていた。野球強豪校ということもあり、応援にさらに力を入れるべく創部が決定。小林氏は新しい部をイチから作り上げることになったが、「甲子園で応援したい」と女子が大勢入部し、あっという間に56人の大所帯に。ユニホームは、同校のメガホンに合わせて黄色に決定。コロナ禍での開催ということもあり、同じく黄色いマスクも用意。ポンポンは、黄色に映える赤にした。
昨年は甲子園もチアの大会も何もなかったため、初の舞台が夢の甲子園となった。ただし、新型コロナウイルスの感染対策で、大人数での移動を避けるため、甲子園に行くメンバーは20人に絞らなければいけないことに。やむを得ずオーディションを行い、技術や表情などで審査し、メンバーを決めたという。
吹奏楽部新顧問「伝統の応援をいじる訳にはいきません」
吹奏楽部は、37年にわたり顧問を務めた立石洋介氏が昨年退任。新顧問に就任したのは、これまでに神奈川大会で何度も対決している“永遠のライバル”、東海大相模高校吹奏楽部出身の竹牟禮亮氏だ。
「私が高校生の頃にも何度か対戦し、いつも向かい側の応援席で横高の応援を見ていました。男だらけで、とにかく威圧感がすごい。多くの学校が使うような人気曲は使わないですし、他の学校とは熱量がまるで違うと感じていました」(竹牟禮氏)
応援曲を変えたり、新しい曲を追加しようとは思わなかったのだろうか。
「独自性のあるこの応援を変える理由がないですよね。手を加えたくなかった。これほどの伝統のある横高の応援をいじる訳にはいきません」と、きっぱりと言う。
チアリーディング部と同様に、吹奏楽部にも「甲子園で応援したい」と、女子部員が大勢入部。1回戦は、やはりコロナ対策で人数を絞り、上級生を中心に33人がアルプススタンドで演奏した。