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「可能性しか感じてない」DeNAの2年目左腕・坂本裕哉は、強気とポジティブ思考で後半戦のキーマンになる
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/08/14 11:00
2019年ドラフト2巡目で指名された期待の左腕。出身の立命館大学では、2学年上に東克樹、1学年上に辰巳涼介がいた
そして前半戦最後の登板となった7月13日の阪神戦では、プロ入り後初めて7イニングを投げ切り、被安打5、与四球1、1失点の後半戦に繋がるピッチングを見せてくれた。ボールの選択から“狙い”を感じられる投球であり、どこかひと皮むけた印象を受けた。
「たしかにあの試合は、自分がどういうピッチングをすれば勝っていけるのか、先発として務めを果たせるのかある程度見えた試合だったんです。空振りを狙うボール、早いカウントから打たせるボールなど、一球一球に意図を持たせることができました。前の中日戦もそうですけど調子がいいときは、はっきりと投げる“ライン”が見えるんですよね」
リリースからここぞというコースに浮かび上がる坂本にしか見えない“ライン”。逆に言えば、これがぼやけてしまうとまとまりのないピッチングになってしまうという。
課題は左打者への投球
理想のピッチングを追い求め、左の本格派としての道を歩んでいる坂本だが、課題があるとすれば冒頭で述べた修正力と、昨季からの傾向が示す左打者への対応だろう。今季、右打者へ被打率.295にくらべ左打者は.325と明らかに打ち込まれている。
「右打者のほうがラインが見えやすく、差し込める感覚なのですが、左打者は外のラインを狙ったボールが中に入ることが多いんです。高さというよりも、横のライン出しを確実にやっていかないと被打率は下がらないと思います」
そこで重要になるのは内角への攻めである。ただこれに関してはヒントを手に入れている。6月3日のソフトバンク戦、3回表、2アウト、ランナー1塁の場面で柳田悠岐を迎えたのだが、坂本は内角を攻め、フルカウントの末、最後はインローのチェンジアップで空振り三振を奪っている。
「チェンジアップは今一番自信のあるボールですし、あそこで空振りを取れるといった引き出しが自分のなかにあると確認できたのは大きかったですね」
目を輝かせ坂本はつづけた。
「ライン出しも含め、そういったことがしっかりとできれば、左対左で有利なのは間違いないので、必然的に成績は上がって行くと思います」