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「可能性しか感じてない」DeNAの2年目左腕・坂本裕哉は、強気とポジティブ思考で後半戦のキーマンになる
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/08/14 11:00
2019年ドラフト2巡目で指名された期待の左腕。出身の立命館大学では、2学年上に東克樹、1学年上に辰巳涼介がいた
後半戦は約60試合を残しており、ローテに入り順調にいけば前半戦と同じ10試合前後の登板機会がある。エース格の今永昇太や開幕投手の濵口遥大の活躍はもちろん、坂本のような若い先発投手の踏ん張りがなければチームの浮上はありえない。
ただ競争は激しく、ここまで中継ぎだった石田健大が先発に再転向したり、また立命館大学の2学年先輩で坂本のプロへの道標となった東克樹もトミー・ジョン手術から順調に回復し、ファームで登板を重ねている。坂本は尊敬する東の昨今のピッチングに驚きを隠さない。
「さすがとしか言えないというか、ファーム戦に復帰してから無失点ですし(8月10日時点)、ボールが違いますよね。普通にやっていればエース級の人ですから、本当にすごいと思います」
そう言いつつも坂本は次の瞬間、負けん気の強さを見せる。
やるべきことをやれば活躍できる
「でも自分の目指すところもエースですし、競争相手であることは間違いないので、東さんに負けないようにしっかりと追いつき、追い抜いていきたい。ただ、ここまでの僕の投球内容ではチームやファンの方々から信頼を得ることはできないし、後半戦は前半戦とは違う姿を見せたいですよね。急に自分が理想としているピッチングができるとは思いませんが、まずは状態が悪くても6~7回投げて試合を作れるようにしたい。少しずつ自分が目指している、試合を支配する“本格派”のピッチャーになれるように」
コロナ禍の年にデビューし、好投しつつも怪我をし、厳しい負けもたくさん経験してきた。それでもペナントレースはつづいていく。シーズンを通して戦うプロという世界の難しさを感じた2年間ではないか、と坂本に問うと意外にも明るい表情を見せてくれた。
「僕は野球をやる上で難しいとかダメだとか思わないようにしているんですよ。めちゃくちゃ野球が好きで、野球って楽しいなって思っていつもプレイしているんです。対戦相手も人間ですし、自分がやるべきことをやれば活躍できる世界だって感じているし、だから難しいというよりも、可能性しか感じてないんです」
歯切れよく、気持ちのいい言葉。自己肯定できるこのポジティブな姿勢と上のみを見つめるたくましさは、必ずやチームを救ってくれることだろう。