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外国人記者が最後に語った“東京五輪の本音”「セブンイレブンは最高」「あの菓子パンが美味しかった」「シブヤが暗くて驚いた」 

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近藤奈香

近藤奈香Naka Kondo

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posted2021/08/09 17:02

外国人記者が最後に語った“東京五輪の本音”「セブンイレブンは最高」「あの菓子パンが美味しかった」「シブヤが暗くて驚いた」<Number Web> photograph by Getty Images

外国人記者たちに話を聞くと、ホテル近くのセブンイレブンを毎日のように愛用していたという声が多かった(写真はイメージ)

「専用シャトルバスはもどかしかったね」

 豪メルボルンの日刊紙『The Age』のチーフ・レポーター、チップ・ルグランド氏は「通常のオリンピック報道であれば、現地の人々の生の声に耳を傾けたり、その街の雰囲気を肌で感じたり、ということが大事です。今回は2週間、東京から完全に切り離された形で『ガラス越しに一生懸命トーキョーの様子を見ようとする』そんな感じでした。東京は交通機関がどこよりも発達している都市なのに、地下鉄で20分で到着するような場所にも専用シャトルバスで40分以上かけて移動する……交通に関してもどかしい点がいっぱいあった」という。「バブル方式」を考えれば仕方がないものの、「シャトルバスでの移動が極めて非効率だった」とする声は他にも多く聞かれた。

 今回の「バブル方式」は報道陣に過酷なスケジュールを強いるものだったようだ。「みんな体力的に疲れていたよ」と前出のバッグショウ氏。彼はソフトボールを取材するため福島に向かったが、当日午前1時半にオリンピック側が準備したバスに乗り、現地に午前5時に到着、競技スタートは午前9時。それまでひたすら待ち、競技が終わると福島での宿泊は許されないため、正午に再びバスで東京のホテルへ戻ったという。また8月7日(土)の午後に札幌入りしマラソンを取材、8月8日(日)には閉会式のために東京に戻り、8月9日(月)には帰国という強行スケジュールだとのこと。7日の前に取材に応じた彼は「マラソンでは初めて、観客がいる様子を見られるのかな」と語っていた。

日本人のホスピタリティ

 ルグランド氏は「コロナもあって、日本において五輪開催を支持しない人の方が多いという状況は分かっていたが、少なくとも自分たちを直接迎え入れてくれた人たちのホスピタリティには本当に感動した。日本語もしゃべれない自分たちが『招かれざる客』として押し掛けてくるなかで、日本人のオリンピック開催にたいする“義務感”を非常に感じた。オーストラリアでは日本よりも少ない感染者数でも都市封鎖が行われ、国民が家に閉じ込められている。

 日本は感染者が急増する中、オリンピックを開催してくれた。オーストラリアでは、家に閉じ込められている人々にとってオリンピックはこの上なく気分が高揚する素晴らしいイベントだ(豪選手も歴代でも最高レベルの好成績を残している)」と話した。バッグショウ氏も「開催されたことに感謝しているし、記者としても政治報道やコロナ報道に疲れ切っていた中、ポジティブなニュースを報道できることは素晴らしい」と語る。

 アメリカ人カメラマン、マクナリー氏は「日本の人々はあらためて、この地球で他に類を見ないほど優しく、勤勉で、協力的だと思い知らされた。スタッフやボランティアの人々は困難で複雑な状況の中、これほどまでに大変なイベントを成功させようと頑張った。ある女性はこの迷子になったカメラマン(=自分のこと)を正しい場所に送り届けるのに10分もの距離を(目的地に到着するのを見届けるまで)一緒に歩いてくれた」とブログに記している。

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